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現代日本のタブー(はじめに)

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IBC対訳双書シリーズ 2017 「現代ニッポンのタブー」 新刊(土屋)

(タイトル案)

現代ニッポンのタブー ~その余りにもビミョーな存在~

 

<はじめに>

 2013年制作のフランスのB級アクション映画『パリ・カウントダウン』(Paris countdown)で、主人公がカネに困ってギャングのボスを訪ねるシーンがある。日本食レストランでボスは寿司を食いながら、主人公にもすすめるが、彼が「生魚はちょっと……」と尻込みするのを見てこう言う。

「日本文化なんて、お前らにはあまりにもビミョーだからな」。英語の字幕には「Japanese culture is too subtle for you」と出る。この「subtle」という形容詞は、「微妙な、とらえがたい、名状しがたい」などの意味になる。実は、これこそ「現代ニッポンのタブー」を語るキーワードなのである。

 

 本書はタブーを定義したり、学者めいた文化論を語ったりする難しい本ではない。また日本文化に知識も敬意を持たない若者やガイジンが冒す間抜けな言動を揶揄するものでもない。

本書は、現代の日本人自身でさえ気づいていない、しかし確実に生活場面での言動を制約している、みえにくい何らかの「拘束力」を観察し、考察してみたいのだ。いや、たいしたことではない。

 

 たとえば、麺類を食べる時、日本人は「ズズーッ」とすすり、音を立てて食べる。自分がそうするだけでなく、来日したガイジンにラーメンやそばをすすめる際に、「郷に入らば、郷に従え」で「すすって食べろ」と強要する日本人がいる。しかしアジア圏を含むほとんどのガイジンは、そうすることを生理的に嫌う。幼い時からしつけられているからだ。

慣れない行為に「No!」と言う人に、何かを押し付けるのは少しも「おもてなし」ではない。犯罪に近い。だからこの行為に対して、「ヌーハラ」(ヌードル・ハラスメント)という言葉も生まれてしまった。日本人はこれからも麺類をすすって食べ続けるだろう。そしてガイジンは「No!」と言い続けるだろう。どこまでも交わらない、この些細な文化上の「タブー」はいったいどうして生まれ、どう変化するものだろう……? そんなレベルのことを考えてみたいのである。

 

本書は、身の回りにたくさんあるこうした事象を観察し、考察する本である。そう、決してハイブロウ(hibrow)ではない。もし、本書を手にして、ジェームズ・フレーザー卿の『金枝篇』(The Golden Bough)や、日本の民俗学者柳田国男の『禁忌習俗事典』を現代ニッポンに適用して解説したものか、と期待したのなら、そっと書棚に戻していただく方が良いだろう。

 

 私がこだわるのはやはり「subtle」な、タブーとそうでないものとの境界線である。ある人にとっては「No!」なのに、別の人には「Yes!」であるとか、ある場合には右なのに、別の場合には左とか、昔は多くの人が従っていたのに今ではごく少数しか従わないなど……、 

その違いを誰も明確に、科学的に、合理的に説明はできない。しかし現実にそういう事象が発生している現場に興味があるのだ。なぜなら、人生も世界も不合理なことの連続で、曖昧なことだらけではないか。だからこそ面白くてエキサイティングだ。もし、これが何から何までクリアで、正義と不正義がはっきり区分され、明日の暮らしも計算ずくめだとしたら、生きるに値しない。

日本ほど、「subtle」なタブーに囲まれている社会はないと思う。だからこそ、私はこの国に生まれて暮らしていることをラッキーだととらえている。本書を通して、私はこの国に生きることの面白みを、読者と分かちたい。

 

 本書は、便宜上、いくつかのパートに分けてあるが、この分け方も全然体系的ではなく、「subtle」である。だから読者には、自分の興味の湧くところから読んでいただければ良いと思っている。

 

2018年初春、早速、たくさんの「曖昧なタブー」事件が起きている!

 

土屋晴仁

さようならハリウッドそして北欧ドラマ

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 カーチェイスとドンパチとFu*kの連発。役柄は人種のPC(ポリティカルコレクト)に配慮。銭のとれる俳優はみんな老け、営業的にはッ中国市場に尻尾を振る……それが今のハリウッド映画。それに対して目立たぬ中年男女が主役、背景にシリアスな現代の課題、落ちついた画面色彩……等々と惹きつけられるのが「スカンジナビアノワール」。北欧・英国・東欧などのサスペンス。『刑事ヴァランダー』も『ミレニアム三部作』も『特捜部Q』も良かった。今見ているのは、『THE BRIDGE/ブリッジ』(2011年〜)。主人公のデンマークの女刑事サガはアスペらしくて、他者の感情を理解できず周囲から、「ロボット人間」「変人」と評される。でも本人なりに傷ついてもいるのが可愛い。演じるソフィア・ヘリーンは今年46歳。24歳の時自転車事故で唇の右上から顎にかけて大きな傷を負っているが、個性になっている。 カーチェイスとドンパチとFu*kの連発。役柄は人種のPC(ポリティカルコレクト)に配慮。銭のとれる俳優はみんな老け、営業的にはッ中国市場に尻尾を振る……それが今のハリウッド映画。それに対して目立たぬ中年男女が主役、背景にシリアスな現代の課題、落ちついた画面色彩……等々と惹きつけられるのが「スカンジナビアノワール」。北欧・英国・東欧などのサスペンス。『刑事ヴァランダー』も『ミレニアム三部作』も『特捜部Q』も良かった。今見ているのは、『THE BRIDGE/ブリッジ』(2011年〜)。主人公のデンマークの女刑事サガはアスペらしくて、他者の感情を理解できず周囲から、「ロボット人間」「変人」と評される。でも本人なりに傷ついてもいるのが可愛い。演じるソフィア・ヘリーンは今年46歳。24歳の時自転車事故で唇の右上から顎にかけて大きな傷を負っているが、個性になっている。 他にも高評価の)『キリング』『ラビリンス』『トラップ 凍える死体』『ヒンターランド』等々、観たいドラマがある。どうせ無職同然の”干されている”身だ。今年の秋はこれらを探して過ごすことにした。

 

「嘘松さん」で画像検索すると……

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 「あゆみ嘘松」で検索すると、歌手のH崎あゆ〇さんがインスタにあげている写真が「ウソ(fake)」認定でいっぱい出てくる。彼女がこの手の常習犯やビョーキとは思わない。それが仕事なのだろう。オソマツ、トドマツ……より繁殖力ある「ウソマツ」は世界中に跋扈していて、Vロガーやインスタ女子のほとんどがこの手の細工をする。ビュー数が収入を左右する時代だから最後の審判や閻魔を気にしてはいられない。fakeが生活習慣の一部になる。
 誰もが騙し騙される時代になっている。「投稿動画」ものにウブな人は、ひと息入れてみよう。昔から話を盛ったり、写真を加工したりするテクはたくさんあった「なぜここにCCD(カメラ)があるわけ?」、「これで新聞沙汰にならないなんて……」、「昔のコントネタにそっくりだ!」と気づくだろう。fakeものを消すには、SNSに「Thumbs down」マークを入れて、カウントごとにビュー数を消す仕組みが必要だ。……ま、狎れるとfakeも笑えるんだけどね。

映画一つで3つの話題

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 【1】コーヒーBOSS の主役?トミー・リー・ジョーンズは、『MIB』以外では齢(72歳)に応じた役回りをするようになって一層シブイ。①『ノーカントリー』保安官役は61歳の時だった。でも若い頃は甘い2枚目。②48歳の時、『依頼人』で生意気なガキ相手に振り回せされる嫌みな検事役をやったが、以降、甘さは無くなった。自分も、男としてはこういう顔になってから死にたいと思うが、現実は禿げたトムハンクス系のようなベクトル。トホホである。


 【2】前出の『依頼人』でガキを守るおばさん弁護士役はスーザン・サランドン、この時51歳か? 役では12歳のガキとの会話で、ロックバンド「レッドツェッペリン」が話題になる➂。ガキが「聴いたこともないくせに、話を合わせようとする大人が多いんだよな」と嫌みを言う。たしかに40違えば親子の差。無理に合わせるのはみっともない。でもツェッペリンは70年代一杯活躍したから、1994年の映画として両世代が知っていても不思議ではない。


 【3】オバサンのツェッペリン愛の深さを見せたのは「一番好きなのは、『モビィディック』(白鯨)でのボンザのドラムソロよ」という答。④ロックドラマーのレジェンドである「ボン」ザことジョン・ボーナムは、まさに鯨飲のあげく吐しゃ物を喉に詰めて1980年に32歳で死んだ。その命日が明日9月25日である。

爺飯53 「サラダ」に救われた今年の夏

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 猛暑で食欲も料理を作る気力も失せた夏。乗り切れたのは、手っ取り早く作れるサラダだった。写真に残っている例を振り返ると、①カニ玉とハムカツ、②キノコのチーズドレッシング、➂枝豆とゴボウの胡麻ドレ、④鰯缶詰と浅茹でセロリ、⑤味玉2個、⑥冷製サラダうどん……てな具合。見た目も気にせず、有り合わせのものを使ってちゃちゃっと作り、晩酌の友にした。サラダの語源はSALTつまり塩和えした野菜なんだが、なるほど塩分補給にもなったようだ。原価それぞれ200円もかかっていないだろう。でも、呑み過ぎは脱水症状を起こしやすいから、夏の酒は要注意。……サラダの良さは、化学風にいうと混合物であって化合物でないこと。材料同士が反応して別物になるのでなく、材料単体の個性が残り、良さを味わえる。さて、季節は物成りの秋。旨い物がワサワサと、しかも安く出てくる。秋バージョン・サラダは何を作ろうかな。……あぁ、痩せるヒマがない。

ネット広告辛評01 「ヨドバシ」残念!

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 「ヨドバシエクストリーム便をやってるが、都内だと注文後、翌日の午前中に届ける事になっている。しかも送料無料。一時期、2chで「Amazonより神」「ヨドバシ使うわ」なんて持て囃されてきたけど、はっきり言って中の人はもう限界だよ」……こんな投稿が出回っているのを知らないのか、ヨドバシの配達便「エクストリーム」の広告が、かなりの頻度で動画サイトに出てくる。だが、ほぼ7秒間のこの広告は、「エクストリーム」感を強調したいだけのクズ。速い乗り物にロゴを貼った映像だけ流れるが、分からない人には最後まで何の広告か分からないし、分かる人には視聴の価値なしとすぐにスキップされる。……いったい、どこの代理店が、どんなクリエイターが作ったのか知らないが、ネット視聴者の行動と心理を知らなすぎる。ヨドバシは、昔ながらでかい店頭チラシ広告の原点に帰るべき。財産である人材が疲弊したらY電気のようになってしまうぞ!

爺飯52 自炊を後押しするサイト『日々の料理』

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 ほぼ毎食炊事する人は時々、うんざりする。でも、肩の力を抜いて「気分のままに、で良いんだ」と思えたり、布巾やまな板の殺菌をするだけで、また「やる気」が少し回復したりする。窓を開けて景色を眺めるのも効果ありそうだ。……長野の小布施あたりに在住と推測するYAMAMEさんという若い主婦が『日々の料理』という動画サイトを上げている。野菜を刻む音、静かなBGM、庶民的料理、たとえカレーでも味噌汁は欠かさない頑固さ、最小限のテロップ、高くないが美しい食器、窓外のソバ畑にやってくるキジ親子……。タクアンだけの食事などを見せられると、「和食は一汁三菜」なんてのは気取った言葉だとわかる。ジブリの『朝ごはんの歌』(『コクリコ坂から』)が似合う。……多くの視聴者が「癒される」「作る気力が湧いた」と投稿する。自炊にちょっと疲れたとか、飽きたという人にはおすすめの料理サイトである。