h.Tsuchiya

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爺本21 光文社の新訳文庫『ピグマリオン』を読むぞ!

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 出版不況の中、健闘していると思うのは、200点以上刊行している光文社古典新訳文庫のシリーズだ。人気の理由は?国の色別になった表紙のデザインやコンパクトさも良いが、「いま、息をしている言葉で」のキャッチフレーズ通り新訳を採用していることだろう。『カラマーゾフの兄弟』は100万部超えと噂される。何冊か読んだが今、読みたいのはバーナード・ショーピグマリオン』。訳しているのはシェークスピア個人全訳の偉業を果たした小田島雄志の次男・小田島恒志(1962年生、妻・則子との共訳が多い)だから期待できる。……ピグマリオンギリシャ神話に出てくる彫刻家。自分が彫った乙女の像に恋したら彫像が人間になった。ここから「褒めると変身する」現象も指す。……この題名を知らない人でも映画『マイ・フェア・レディ』は知ってるだろう。その原作(バーナード・ショー 1912年)だ。ロンドン下町(コクニー)訛りのひどい花売り娘・イライザを、半年で貴婦人の如く変えて見せる言語学者ヒギンズが主役。ヘップバーン版は甘い結末だが、原作に近い1938年版は違う。その真偽も、言葉遊びも、この本で知りたいと思う。……「イライザELIZA」は、初期AI研究の頃に出たワイゼンバウム作の言語処理プログラムにも命名された。「機械と対話できる」と大騒ぎになったこともある。

 

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その23)

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(〇〇殺すにゃ刃物はいらぬ、……)
 早朝、建設現場の警備の仕事に出ようとしていたら派遣会社から電話。「雨予報のため工事が中止になりました」結果、ワシの仕事も休み。珍しく天気予報も会社によってぶれていたから監督もぎりぎりまで悩んだだろう。……昔のどどいつに「大工(あるいは土方)殺すにゃ刃物はいらぬ 雨の三日も降ればよい」というのがある。正月の連休もそうだったが、日給払いの身にはふところに響く。これが雪国ならどうなのかとも思う。かつて「出稼ぎ」が生まれた背景をリアルに感じるし、農閑期を利用して生まれた各地の伝統地場産業のことなども思う(鯖江の眼鏡枠、熊野の筆、東北のこけし、播磨の染糸)。……ところで「〇〇殺すにゃ刃物はいらぬ」だが、そのもじりも多く、「船頭→風の十日も吹けばよい」「医者→朝昼晩と梅を食え」とか「株屋→寄り引き同値でザラ場なし」、秀逸なのは「噺家→あくびひとつで即死する」等々。タレントならSNS拡散てのもありか?……でも、正直なところ、この急な「休み」はありがたい。体も楽だし、買物や銀行など雑用もこなせる。……まずはゆっくりコーヒーでも淹れて、リンゴジャムでも作るか。

爺飯66 「深川めし」を喰い直すぞ!

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 ワシは、昔から気に入らぬモノを喰うと腹が立って、満腹でも「喰い直し」したくなる悪い癖がある。……50過ぎてからでも、まずいワンタンメンの「喰い直し」を2軒もしたことがある。……さる日曜日、仕事の帰りに清澄白河のFで喰った「深川めし」(あさりめし)は、炊き方も味もイマイチ、アオサが鼻について気に入らぬ一品だった。が、1950円もはたいたし、疲れてもいたので腹を立てたまま帰った。しかし、いつかリベンジしてやる。それに、炊き込み(浜松風?)にせず、ぶっかけ「深川丼=あさり丼」(漁師風)にすればよかったのかもしれない。東京駅などの駅弁で売っている900円のアナゴ入りの方がまだましだったかも。……以前に本場・門前仲町富岡八幡宮(一昨年、殺人事件!)傍の店のものもまずかったので、「門仲はだめだ」と思い込んでいたが、丼と汁が別に出てくる店には行ってみようと思う。……江戸前代表のように言われるが、貝類のうまい湊町ならどこにでもあるだろう、いつかそこへも出かけてみたい。……具はアサリでも、ワシの執念はアッサリではないぞ。ヒヒヒ

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その22)

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(同級生が死ぬ確率から考える)
 昨日1月30日、中学同級生の訃報が入った。団塊世代末っ子組だから同級生は約200人もいたが、知る限り15人が亡くなっているから7.5%だ。逆に言えば92.5%が存命ということになる。だから儚いとか虚しいという感慨はない。平均寿命は男が81.09歳、女が87.26歳だから、彼/彼女らの死は例外的に早すぎたのだ。介護などの世話にならない「健康寿命」(2016年)で見ても、男72.14歳、女74.79歳だから、やはり早い。……日本老年学会などは、現在の高齢者は10~20年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延しており、若返りの現象が見られる。「高齢者」というのは、75歳からに再定義すべきではないかという。……ま、そうだろう。65歳を区切りにした「高齢化率」(現在27.7%)という数字とそれを根拠にした諸説・所論は、根拠の薄い、実態とかけ離れて独り歩きした「空論」なのだ。まず企業は、すかいらーくのように「75歳定年」にし、年金支給もずらすしかあるまい。「人生100歳時代」というのはますます現実味を帯びてきた。若者よ、老害だお荷物だと騒ぐな。ジジババたちは別世界・別の物差しで社会変革を考えているんだから!

648 爺歌45 浜田省吾の『Money』を聴

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 身体動かして働くガテン系の心をつかむような浜田省吾も名曲が多い(スプリング・スティ―ンもそうだな)。『もうひとつの土曜日』しか知らない人は残念。シングルになってないけど、『Money』も絶品。……この歌詞の境遇にそっくりの友人がいつも唄って泣くのはこの部分。「兄貴は消えちまった 親父のかわりに♪油にまみれて 俺を育てた♪奴は自分の夢 俺に背負わせて♪心ごまかしているのさ」そして結びのリフレインは「♪Money Money makes her crazy♪Money Money changes everything♪いつかあいつの足元に BIG MONEY 叩きつけてやる♪」……人生、絶対にカネがすべてじゃない、でもカネで人生を狂わす奴がいるのもたしか。そして一番多いのが、カネに気を取られて、人生の軌道がずれかかっていることに気づかない奴。……死ぬ時に数億残したばかりに”遺産争族”招くより、葬儀諸経費ぜ~んぶ精算して1000円だけ方がカッコ良くて難しいと思わない?

爺歌44 おじさんの『桃色吐息』?

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 カラオケスナックなどで観ていると、高橋真梨子が好きな”妙齢”の女性が多い。きっと、「カメリアダイヤモンド」のCMでたっぷり流れてヒットした『桃色吐息』(1984)の歌詞(康珍化、レコ大作詞賞)「♪きれ~いと言わ~れる、ときは短すぎて~♪」に、想いが入り込むのに違いない(断定!)。……ま、”妙齢”でも女性の吐息はまだ許せるが、題名の「おじさんの~」は、ちょっと気持ち悪いな。桃色というより「黄土色」?。でも、おじさん諸君、勇気を出してカラオケでこの歌を唄ってみて欲しい。周囲が引いても気にするな。カネは払っているんだ!すると、かなりの音痴でない限り不思議と最後まで唄えてしまうのだ。……理由は簡単、作曲もし、自分も唄っているのが佐藤隆というおじさんなのだ。この人の作る歌は詞も曲も良い! 『北京で朝食を』『カルメン』『マイ・クラシック』など。他人への楽曲提供も多い。……35年前のデビュー当時はカッコ良いアンちゃんだったんだけどね。もうワシらと見た目あんまり変わらんジジィだ。頑張ってもっと作れよぉ!

「尾籠(びろう、おこ=痴)」な芸名

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 落語などで下品なふざけ噺をする前に「びろうな話ですが……」と断りを入れることがある。下品でふざけていることは「おこ(痴)の沙汰」ともいう。「おこ」に当て字して「烏滸」「尾籠」となるが、後者が音読みされたのが「びろう」だ。びろうな落語の一例だと、知ったかぶり和尚が医者との対応で間抜けぶりをさらけ出す「てんしき(転失気)」がある。「てんしき」とは「おなら」のことだった。盲腸の手術後「おなら」が出れば手術成功なんていったもんだけど、こんな”専門用語”は金馬(三代目)の噺を聴くまで知らなかった……。その「おなら」に絡む「びろうな芸名」があることも最近YouTubeで知った。小津の映画『晩春』(1949)は、原節子が「紀子」役で出るシリーズの1作目。そこに親戚の元気な男の子が出てくる。小津もの常連の「突貫小僧」かと思ったら違った。その異父弟で芸名「青木放屁」とある。いくらあだ名がブーちゃんでも「放屁」はひどいと思うが本人は平気だったようだ。……「おなら」(fart)はどこかユーモアがある。”ブーブー・クッション(whoopee cushion)”が懐かしい。それを芸名にしたのが『天使にラブソングを』などの女優ウーピー・ゴールドバーグだった!まさに「ヘェー(屁)」三連発でしょ。……最後っぺ話。ワシの祖母は、おならをすると、いつも「あらっちゃ、こりゃ持って帰れん落とし物したっちゃ」ととぼけた。