h.Tsuchiya

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65歳の地図

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 中上健次の初期の作品に「十九歳の地図」があったね。新聞配りの主人公(19歳)が、300軒の家々を回りながら、自分のノートに描いた町内地図、憎悪を抱いた家を「×」印でマーキング。その怨念が、どんどんエスカレートして悪戯(復讐?)を開始する。とくに彼がはまったのが脅迫電話だった。今なら完全にストーカー犯罪。

 その一方で、同居している新聞配達の先輩のふしだらな日常も嫌悪するのだが、ふとしたことから、彼とその先輩とその彼女が1点に交錯する…そして。

 

 これは映画にもなったな(1979年)。小説とは違うけど、いい映画だった。この時代、この年齢、この怨念そして中上健次らしさがビシビシ感じられた。この年は、米国スリーマイル島原発の事故が起きた。カラオケ好きには、日本の歌謡曲最後の栄光の年ともいわれる(これはボクのウソ。でもいい歌がたくさん出たのは事実)。のちにあの尾崎豊が、この小説に影響を受けて「十七歳の地図」という曲も作った。

 

 そして今、思う。ボクが「65歳の地図」という小説なり映画なりを作るとしたら、どういう設定にするだろうか、と。たぶん、65歳ながら比較的元気なので、近所のディサービス会社に仕事を得る。そして、毎日、近所の家々を回って、要介護の老人たちを施設に送迎する仕事をする。そうしているうちに、家族関係がしっくりしなくて、要介護老人を適切にケアしていない家に出会う。それをボクは、自分のノートの地図に「×」印をつけていくのだ。そして、どんな「天誅」を下すべきかを考えて、ある日から、ひそかに実行に移す。その手段とは…ジャーン! フフフ、内緒だな。

 

 でも冗談ではなくて、そういう思いを抱いている介護サービス関係者がいそうだ。