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中学生でも知ってる?「ブラックスワン」

 馬齢を重ねるうちに、なんとなく世間なり人間なりというものが判ったように気になる。経験則で、何が起きても、誰にあっても、「どうせこんなものだろう」と高をくくってしまう。安く値踏みする。なめてしまう。これは典型的な老化現象なのだが、当人はなかなか気がつかない。

 先週のことだが、ひょんなことから中学生の(高校受験用)国語の模擬試験の問題に、「ブラックスワン」についての誰かの随筆が出ていたと聞いた。「ブラックスワン=黒白鳥」? それがどうした?と思った。有名なバレエの曲目だし、スケートの金妍児(キムヨナ)がこれで演舞したとか、映画版もあったな、どこかの公園の池でみたな……くらいのことしか思い浮かばなかった。でも、全然違った。
 
 ブラックスワンというのは株の取引きをする人とか、あのサブプライムローン崩壊による「リーマンショック」を知っている人には「常識」の業界用語なのだそうだ。ボクの一番縁遠いところで使われる言葉で、用例としては、「市場関係者は、『ブラック・スワン』的事象が考えていたよりも頻繁に発生していることに気づき始めた」とか「中東の動乱や日本の大地震など、相次ぐ『ブラック・スワン』に投資家は身を縮める」などと使うらしい。ま、「想定外のできごと」の意味に近いようだ。

 この「ブラックスワン」は出所がはっきりしている。米国在住のレバノン人の文芸評論家でディ・トレーダーでもある:ナシーム・ニコラス・タレブという人が2007年に出した本の題名だ。その本で、こういう挿話を紹介している。

 17世紀のことオーストラリアを訪れたオランダ人が、そこで初めて「ブラックスワン」を見つけた。それまで白鳥というくらいだから、この鳥は白いに決まっていると、世界中の誰もが考えていた。しかしこの”事件”によって、従来の常識は一変してしまった。「白鳥は白とは限らない」と。

 タレブさんについては何もしらないし、この本とリーマンショックがどう結びついて世界で話題になったのかもしらないが、要するに、世界は常に予測のつかないことを孕んでいて、それが明らかになると世界が一変することがあるということを、この言葉で象徴するのだろう。

 で、中学生が模試で読んだ「ブラックスワン」の随筆というのは、もちろん証券界のことなんかではなく、ごく一般的に「未来には予測のつかないこともある」程度のことが書かれたいたのだろう。全然、間違っちゃいない。

 中学生さえ知っていた「ブラックスワン」のことを、65歳にもなったジジイが知らなかった。これぞまさにボクの「ブラックスワン」事件である。世の中、まだまだなめちゃいけないとも言えるし、愉しいことがまだまだありそうだとも言える。

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