h.Tsuchiya

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SHIROBAKO観て想う「生涯の仕事」

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 昨日のネットニュースを見ていたら、「品川・荏原七福神で萌えキャラポスターを作り、商店街を活性化」なる記事が出ていた。昨今、商品を売るにも人を集めるにもなんでも「萌えキャラ」だのみになっている傾向をいささか苦々しく思っていたし、そのポスターなるものも噴飯ものだった。弁天はともかく福禄寿なんて萌えられるはずがない。

 それはともかく、記事へのコメントをフォローしてみると、「クォリティの高さならSHIROBAKOだ」というのがあった。「SHIROBAKO」が、TV]の深夜アニメで今年の春まで放映していたこと、アニメ業界をテーマにしたこと、白箱が完成後にスタッフに配られるビデオテープのことだというくらいは、春の放映後の話題として知っていたが、見るからにまさしく萌えキャラっぽい宣伝画面に、中身を観る気は全然起きなかった。ところが「間が刺した」のか、夜になっても気になって、ついついYoutubeで見つけて全24話を夜明かしして観てしまったのだ。

 内容を知っているひとにはダルイだ、簡単にいうと、田舎の女子高校生がアニメ同好会をに所属し、卒業記念制作(偶然だが、テーマが「七福神」)をして、卒業後も夢を捨てずにアニメの世界に進もう、そしてまた一緒に作品を作ろうと誓う。そして数年後、主人公のアオイが、東京の中堅アニメ会社に就職し、制作進行見習いでドタバタするところから話が始まる。大きな作品の仕事を担ううちに成長する主人公、会社や業界のさまざまな人との交流、道のりは違っても同級生それぞれもアニメの世界に集まる経緯……。時に業界専門用語(ジャーゴン)の解説なども交えながら、結構、リアルっぽく話が進むので引き込まれてしまう。その中で、主人公が「自分はなぜ、この世界に身を置きたいのか」ろいう問いかけを深めていく。その「自分探し」もこのアニメのテーマであり、観客の共感どころなのだろう。

 最後の話。完成打ち上げで乾杯の挨拶を指名されたアオイはこういう趣旨の言葉を語る。「アニメの世界は、長い時間、たくさんの先輩たちが灯してきた情熱の灯を受け継いでいる。自分は小さな1本のろうそくだけど、その灯を絶やしたない。受け継いでくれる後輩たちはきっといると信じる」てな内容だったと思う。そう、い~~~い話なのだ。アニメ業界でなくても、少し斜陽がかったすべての業界で働く人にとって、鼻の奥がきなくさくなって目から水が出そうになる。

 愚痴や挫折が山ほどあっても、情熱をろうそく1本程度にしょぼくさせても、やり続ける「生涯の仕事」を持てた人は幸福だと思う。世間や家人がどう評そうと、報酬の多寡でもなく、自分なりに「ろうそく1本」の明るさと熱気を感じられたらそれで良いのである。「生涯一捕手」といったウザイキャッチャーもいたが、その気の張りようは悪くない。

 そうして考えると、ワシはなんだったのか? おこがましいが「生涯一編集者」と言えたらうれしい。まだ少しだけ時間がある。