h.Tsuchiya

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ゾルバになりたい!

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 若い頃には、「今度、生まれ変われたら……」と考えたことがある。ピアニストがいいな、とか弁護士になりたいとか、金持ちの息子に……と、なんて愚にもつかぬことだった。でも歳を経ると、「生まれ変われる可能性がポチともないことが分かっているから、いつしか考えることもなくなった。

 それが今夜、ふとある音楽を聴いていて、「あぁ、生まれ変われたらいいな」と思った。音楽というのは映画『その男、ゾルバ』のテーマソング。最後に主人公とアンソニー・クイン演じるゾルバが海岸で踊るギリシャダンスの曲だ。映画を観たことがことがない人でもどこかで聞いたことあるはずだ。

 映画の原題は『Zorba, The Greek』。直訳すれば「まさにギリシャ人のゾルバ」となる。先頃の国家的デフォルト(債務不履行)を起こしたEUの問題児のギリシャである。その国民性の、とくに男と来たら、陽気で、怠け者で、スケベで、おしゃべり好きで、平気で嘘をつく……という先入観が根強くある。ゾルバはまさにその通り。原作小説を書いたのがギリシャ人作者ニコス・カザンザキスだから、そう間違ってもいなそうだ。

 物語は、父の遺産の鉱山を継ぐために小説家がクレタ島に帰るところから始まる。船の中で気のよい男ゾルバに遭って、鉱山の監督を任せることになる。島について、早速ゾルバは宿の女主人と、主人公の小説家も村の未亡人と懇ろに……じつにすばやい。でも、そこから色々ひと悶着。鉱山も失敗する。でも、ゾルバは全然、めげない。主人公もその毒気?に取り込まれ、なぜか元気になって、海岸でのギリシャダンス……となる。そのシーンの数分はYouTubeでも観られるが、本篇はもう消されている。やはりアカデミー賞クラスはチェックが厳しい。

 少々のことではへこたれぬ強さ、陽気さは、男らしくて素晴らしい。色気がある。悲壮がっても、深刻ぶっても、事態は変わらない。それなら「気にしない」と割り切って、ジタバタもせずに、どうにかなるのを待てば良い! 地中海文化・文明が普遍性を持ったのは、実にこういうtころなのかもしれない。う~む、やっぱ「ゾルバになりたい!」