h.Tsuchiya

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涙出るほど美しい日本語

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最初に、カッコのフリガナ見ずに読んでみて。

もとより、溝板(どふいた)の蓋があるから、ものの形は見えぬけれども、優しい連弾(つれびき)は正しく其の中。笑(えみ)を含んで、クウ(くの字点)と吹き鳴らすと、コロ(くの字点)と拍子を揃えて、近づいただけ音(ね)を高く、調子が冴えてカタ(くの字点)、カタ!「蛙だね。」と莞爾(にっこり)した。其の唇の紅を染めたやうに、酸漿(ほうづき)を指に取って……


これは、泉鏡花婦系図(おんなけいず)』の冒頭、お蔦(つた)の描写。声に出して読んでも美しいね、昔の日本語。

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『湯島の白梅』って歌、知らんかっちゃ?「湯島通れば~♪思い出す。お蔦、主税のこ心意気~♪」(小畑実)同名映画の主題歌らじゃ。……これは佐渡

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この1週間はヒマだった。何もやることがない。ネットも見る気しない。枕元に積んであった文庫を何冊も読んだ。再読だが、スティーブン・キングの『書くことについて』(小学館文庫)も面白かったし、辺見庸の『水の透視画法』(集英社文庫)も面白ったが、思わずハッと起き直って読んだのが、上記の本だった。

こんなブログでも、日本語で書いている以上、正しく、美しく、ちょっと懐かしいくらいの言葉遣いができなくては、と反省した。