h.Tsuchiya

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日本映画のレベルダウンぶり

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 この5日間で古い日本映画を20本ぐらい観た。清水宏の「歌女覚え書き」「按摩と女」、増村保三の「巨人と玩具」などの掘出し物があったが、中でも隅谷研次の「女系家族」がピカイチだった。
 1963年の大映映画で、スジは、女系が続く船場の老舗問屋の養子婿が死んだことで巻き起こる娘たちの遺産相続争い、今でいう「争続」ものだ。実に面白かった。さすがは山崎豊子(原作)! 誰もがそう思ったらしく、この話は今までに計6回もTVドラマ化されている。

 しかし、現代に近づくにつれて、中身がどんどん劣化しているのはどういうわけだ。ともかく、設定がおかしい、役者たちにオーラがない、映像や編集にキレがない……。2005年のTBS版など最悪だ。
 役者の比較でよくわかる。昔の主な役者と、同じ役を演じた今の役者を並べるとこんな感じ。若尾文子vs米倉涼子京マチ子vs高島礼子中村鴈治郎vs橋爪功田宮二郎vs高橋克典北林谷栄vs伊佐山ひろ子……話にもならないのが、浪花千栄子vs浅田美代子だ。

 監督の人材不足も深刻なんだろう。この映画の監督は三隅研次。いわずとしれたチャンバラものの大家。「座頭市」や「眠狂四郎」、「子連れ狼」シリーズのいくつかを撮っている。現代のバイオレンス系ジャンルで、人を探すと三池崇史ぐらいなのだろうか?(タケシなどは問題外)。あまりに才能が違い過ぎる。

 映画ではメシが食えない時代。有能な連中は、まるで違う分野で生きている気がする。往年の映画大好きジジイとしては、なんだかとても寂しいのである。