h.Tsuchiya

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爺本12 『国富論』を読む前にコレ!

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 たまにはカタイ本。グローバリズム自由主義経済を賛美する人は、アダム・スミスの『国富論』にただ1度出てくる「神の見えざる手」という言葉を掲げて、「経済は自然と効率化し、富も全体に行き渡る」というデタラメを言う。だが、それはスミスの真意と違う。GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が圧倒的支配力を持っている現代とも違う。どんな職業人でも、今は、哲学や経済学を再学習しないとヤバイと思うのだが、それにはやはり適当な先達(ナビゲーター)が必要だ。そこでおすすめが堂目卓生の『アダム・スミス』(中公新書)。これはスミスの『道徳感情論』を再発見した本である。学術っぽいが、終章はこうまとめる。「多くの人間が陥る本当の不幸は、真の幸福を実現するための手段が手近にあることを忘れ、遠くにある富や地位や名誉に心を奪われ、静座し満足しているときに動くことにある」。地域創生や仕事改革を考える人は、まずこれから読んだらどうだろう。