h.Tsuchiya

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556 「天保老人」への憧憬(しょうけい)

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 日本史で習う「天保の改革」で知られる江戸末期の「天保」(1831~45年)は、実は大変な時代で、大飢饉、大塩平八郎の乱 蛮社の獄 伊勢お陰参り流行があり、木戸孝允福沢諭吉坂本龍馬大隈重信山縣有朋黒田清隆伊藤博文など明治の元勲が生まれている。この「天保生まれ」がやがて老人になった頃、やたらと懐旧談をして周囲の顰蹙を買った。老いの繰り言、老生常谈である。そのため明治の20年代に「天保の老人」という言葉が流行、当時24歳の徳富蘇峰の言であり、大変なネガティブ・ワードだった。だが、現代になって「そんなことはない。彼らに学ぶことは多かったはず」と擁護したのは、リベラル系学者の内田樹(うちだたつる)。彼は、「おじさん」という概念は、おそらくは幕末から明治30年代を淵源とする近代の発明であり、それ以前に「おじさん」は存在しないと喝破している、だがその内田も1950年生まれの「昭和老人」だ。……ワシが昔語りの伝承者を探しているのも「天保老人」への憧憬からなんだけど、FB仲間では浮いている(笑)。