h.Tsuchiya

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爺本17 なぜか、今「ディケンズ」本

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 この頃、立て続けに「ディケンズ」に出くわす。2008年のHBOドラマ『THE WIRE』にはEpの一つに「ディケンズ的視点」があったし、2010年のC.イーストウッド映画『ヒア・アフター』(来世)では、霊能力を持つ青年(マット・ディモン)が、毎夜、その朗読を聴き、ロンドンでディケンズの記念館を訪ねる。そこにこの絵『ディケンズの夢』がある。描いたのはロバート・バスという画家。まどろむディケンズの周囲に小説中の場面が描かれている。全部塗りつぶされてないので未完だそうだが、コンテだけの下絵によって逆に現代的になっている。さらに、まだ観ていないが、2015年のBBCドラマに、ディケンズ作品中の主人公たちが登場する『ディケンジアン』というのがあるようだ。……『クリスマス・キャロル』『二都物語』などいくつかを読み、今、自分の手元にあるのは短編集と『オリヴァ・ツイスト』だけだが、正直な感想は”古臭い”。時代でいえば江戸の終り(寛政とか天保)の大衆文芸だから当然で、後の自然主義の連中から酷評されたのも仕方ない。しかし、評価は再逆転しているらしい。「シェークスピア以上」との評価(トルストイ)は別にしても、「英国の国民作家」と確定したようだ。……欧米の文芸的教養の質も変化しているのだろう。