h.Tsuchiya

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ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その4)

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 男が65歳を過ぎて「就老」すると、途端に需要が限定される。昔取った杵柄も通じず、”盛って”書いた経歴書も相手にされず、取りつくシマもない断りが来る。世間から「不要」と言われた気になり、廃残気分でひどく落ち込む。そんな経験を誰もがするが、まるで人間の「消し炭」だ。……火鉢やへっついの燃え残った炭や薪は「消し壷」行きになる。着火はするがカンカン燃える「熾火」にはなれない。だが、この時期を乗り越えると、自分は「消し炭」でなく「埋火(うずみび)」なんだと思うようになる。消されずに、火種を残したまま灰をかぶっているだけというのが「埋火」。(新しい炭を足されれば)「まだまだイケる!脇役に徹して、心機一転やり直すか」と「就労」を再開する。「消し炭」より「埋火」にはどこか色気がある。……この季語を入れた冬の俳句を2つ。手あぶりの傍で亡き人を偲ぶ芭蕉の句「埋火も消ゆや涙の烹(煮)ゆる音」。人生の残る火種を惜しむかの子規の句「埋火の夢やはかなき事ばかり」