h.Tsuchiya

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ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その8)

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 (「佇む哲人」続き) その爺が唐突に話しかけてきた。「君、マズロー自己実現欲求説知ってるだろ?」「はぁ、5段階説ですね」「彼は後年、6段階目に『自己超越欲求』があると唱えたね。人口の12%がそうだ、と。これがよくわからん」。後にも先にも話はこれだけ。以後、どの現場でも会わない。……人間は、生き抜くため、自分を認めてもらうための欲求を持っていて、段階的にそれを満たそうとするというのがマズローの説。欠乏感から脱すると自分らしさを高める成長欲求になる。「自己超越」は、自分以上になろうということだろう(たぶん)。こうなると米国流実用哲学よりも仏教の「悟り」の世界じゃないのかと、思った。この人、托鉢坊主になった方が良いとも。……連想が跳んだ。10年前、佐渡の北の山から吹き下ろすみぞれ交じりの寒風の中、橋のつけ替え工事で周囲は田んぼしかない場所に一人立哨する警備員がいた。通行人も居ず、車もマレ。休める公園もコンビニもない。彼の脳裏の中に去来していた「欲求」は何だったろうかと今になって思う。あの「哲人」の所在は不明だ。