h.Tsuchiya

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爺本31 あの”死語”と『脂肪の塊』

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 街に「小太り」な人が増えてる気がしているが、この数日の寒さで「着膨れ」してるからだなと理解してあげよう。だが脳裏をよぎったのは『脂肪の塊』という言葉……モーパッサンの同名小説の主人公・娼婦エリザベートのあだ名だ。彼女は小柄で丸く、指はウィンナを並べたみたい。でも張りのある肌と愛くるしい黒い瞳……昭和の死語でいうと「トランジスタ―グラマー」ってやつ。性格は淳良で優しい。よくしらんが今なら『アイマス』とかアニメキャラに出そうなタイプだね……物語は普仏戦争下の劣勢フランスで、多様な10人が馬車に乗り合わせて戦禍から逃れようとすることから始まる。進まぬ旅、彼女は空腹の同乗者に食料を分けてあげたりする。そして宿につくが敵に拘束され、彼女が将校に身を任せたら解放すると言われる……さて、ここからがすごい。偽善、屁理屈の乗客たちのゲスぶりがね。でもスジを垂れ流すのはここまで。どうやら実話を題材にしたらしい。ま、短編だし、面白いから読んでみて……ジョンフォードの『駅馬車』はこれに影響されたって言うけどまるで別物。今春、同名の日本映画が上映されたらしいが観る気になれない。またゾラやモーパッサンに影響されたはずの日本の自然主義文学も数冊以外読む価値なし。21世紀こそ「自然主義」復活だと思うんだけどね~。