h.Tsuchiya

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おすすめの展覧会「藤田嗣治展」

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 猛暑にめげて出不精になっていたが、涼しくなったところにタイミング良く、M君夫妻から「藤田嗣治展」のお誘いがあったので便乗。没後50年の節目とかでかつてない規模の作品を系統的に展示していてすこぶる評判が良い。それが老人割引+前売りでわずか800円で観られる。戦前からパリ画壇で認められた国際派だが、超有名という人でもないから大混雑にはならないのもありがたい。
 戦後の「総懺悔」の煽りで「アッツ島玉砕」などの絵が戦争協力だと批判されたのは不幸だった。同時に展示された「サイパン玉砕」の絵と併せて見れば戦争の悲惨さを伝える迫力ある名画だと分かる。……ともかく語りたくなる作品が多い。面相筆で縁取りし、シッカロールで白さを強調する独特の画風と頻繁に登場するネコや布などの画題が話題になるが、個人的に面白かったのは、色彩豊かな沖縄もので,年配の女性と二人の幼児を描いた「孫」。よく見ると老婆の手に入れ墨。戦前まで残っていた沖縄女性の風習「針突(ハジチ)」だ。こういうのも現物を見ないと気づかない。お勧めに価する展覧会だった(10月8日まで都美術館)。