h.Tsuchiya

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おすすめ『宇宙船とカヌー』映像版

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ダイソン親子

 2月28日、米国の理論物理学フリーマン・ダイソンが死んだ(96歳)。世間がどれくらい死亡記事を報じたかは分からんが、知らない人が多いから彼の息子(ジョージ・B・ダイソン)にまで触れた記事は、日本では恐らくゼロだろう……自分は彼と息子の話を『宇宙船とカヌー』のちくま文庫版(1988)で読んだ。「父は世界のすべてを数式で表現できるのに、手仕事ときたらクルマの修理すらできない。そんな大人になりたくない」と16歳で家出し、いつしかアラスカ~カナダ沿岸に棲みついて先住民アリュート族のシーカヤックを作る生活を始めた。父は人類の宇宙移住時代が来るとして宇宙船の開発を提唱した。同じ「船」への取り組みだがまるで対照的な親子……推察の通り、60~70年代にかけての世代断絶と新しい生き方を求めるカウンターカルチャーの時代潮流が書かれている。著者ケネス・ブラウワーも訳者芹沢高志も良い仕事をしたと思う……『ガイヤ・シンフォニー』の龍村仁は1986年にフジTVで映像化した。今さら本(写真:ヤマケイ文庫で復刊)を読むのもしんどいだろうから、1時間12分のこちらをおすすめしたい。MP4版がダウンロードできる(YouTubeにもあるが随所で音声が欠ける)……別の道を歩んだ親子だけど、どこかでシンクロしている。カウンターカルチャーというより「オルタナティブ・ライフ」の物語だと解る。https://yahoo.jp/box/UySbEt。ジョージの夢は日本からアリューシャン列島沿いにカヤックで渡ることらしい。