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「榎の僧正」って噺、憶えている?

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榎の僧正

 東京の小さな公園などには真ん中にドカッと「榎(えのき)」が茂っていることが多い。巨木に育ちやすく、この時期、長いムチみたいな枝に葉が揺れている……で想い出したのが『徒然草』(四十五段)にある「榎の僧正」の噺。古典の授業でこれだけ覚えている。実に笑える……14世紀に実在した京都のお坊さんで良覚という人がいた。血筋も良く、叡山大僧正も務めたのでプライドの高い人だったが、「きわめて腹悪しき(怒りっぽい)人」だった……彼の寺は大きな榎(えのき)があったため、人々は彼を「榎の僧正」と呼んだのだが、これが当人には我慢ならない!「ワシより榎が偉いのか!」と怒り、この木を切り倒してしまった……すると、残された大きな切り株(きりくい)のために「きりくいの僧正」と呼ばれ……株を堀棄てたら大きな穴に水が溜まり、とうとう「堀池(ほりけ)の僧正」と呼ばれることになったとさ……『徒然草』はここまでだが、『まんが日本むかし話』版では、さらに堀池を埋めた跡に立て札を立て「ワシの名前は良覚である。変な通り名で呼ぶべからず」と書いた。するとついには「立て札の僧正」と呼ばれた。「これなら昔の『榎の僧正』の方が良かった」と悔やむオチになっている……よくできてるね。余談:「榎」は国字つまり日本固有の漢字だと知った。面白いから国字を調べたらとにかく一杯ある。「凧、匂、噺、峠、塀、枠、畑、裃、躾、鯰、鰯、麿……」う~ん、知らんかったよね~。