h.Tsuchiya

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「父のひげ」

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 去年の今日(10月22日)が新天皇の即位礼だったのを忘れてたけど、今から遥か前2004年の明日23日に新潟中越地震があったことは覚えている。上越新幹線が脱線するほど大きかった。覚えている理由は、佐渡の両親が前日に一緒に倒れて緊急搬送されたという連絡があったからだ。急ぎ帰郷しようにも陸路はダメ。JAL便が臨時運行されるのを待ってそれを使った……ま、こうして両親の介護のために仕事をやめて単身佐渡に暮らす「先の見えない時間」が始まったのだけど、その話はまた今度……で、最近の自分のはなし。ひげは毎日剃るが、慌てていると剃り残すことがある。先日経験したのは口角つけねに下向きにはえた数ミリのヤツが肌にチクチクして終日不快だったこと。そこで、父のことを思い出した。ヘルパーさんには生活援助と身体介護もお願いしていたのだが、なぜか父親が無精ひげを伸ばしていたことがあった。気分悪そうなのでT字のカミソリで剃ってやったが、他人のひげを剃るのは難しい。ひげにはクセ、個性があるし、「さっぱり、ツルツル」との感じ方は個人差がある。もしかしたらチクチクの剃り残しをしたかもしれない……当時86歳の父は、僕にはさらに無口になっていたから、満足したかどうかはわからない……今になって「もっと接してあげれば良かった」と思い起こすことが多い。この齢になると、誰かに愛情をもらうより、むしろ慈しみを与えたくなる。