h.Tsuchiya

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「仲良き事は美しき哉」(実篤)

 今週は同じ現場だったので、毎朝同じ電車同じ車両で通った。数日して気づいたのだが、いつも同じ席に小柄な女の子(女子高生?)が座っている。自分が乗って2駅ほど進むと、もう一人の少し大柄な女の子が乗って来てその横に座る。と、すっかり笑顔になったちびこい子が、まるで犬か猫の子が戯(じゃ)れるようにして大きい子の腕を叩く。どうも「LINE送ったのに見なかったのぉ?」との抗議らしい。おっとりめの大きい子は猫パンチ受けながらペコリと頭をさげたところで落着。今度は二人でスマホの画面を見比べっ子しながら楽しそうに話していた。みれば色違いのスタジャン。慎みのある戯れ合いと無邪気さ。ほんとに仲良しな空気が伝わってきて、こちらの胸の中のカイロに火が灯り、見届けて降りたが、通勤時のささやかな愉しみになっている。
 自分にも戯れ合える仲良しがいるが、佐渡の幼馴染だったり、コロナで遠慮しあったりして数年は「戯れて」ない。だが、ジジイの戯れ合いは難しい。
 たまに昼下がりの繁華街で、酩酊して戯れ合っているジジイ連中を見かける。OB会だか同級会だかの集まりらしいが、ヨロボケているのと、どこかマウント合戦してる風の邪気も見えてみっともない。荘子は「君子の交わりは淡きこと水の如し、小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)の如し」といった(裏千家の機関誌『淡交』はここから)。でも、それじゃ物足りないねぇ。ジジイとしては胡散臭さを取るか澄ましているべきなんだろうか?