h.Tsuchiya

My NEWS

春爛漫が少し「ムツゴイ」

 ポスト桜の主役を争うように花々が咲き出した。サツキ、菖蒲、フジ、花水木にタンポポ、花ニラ、長実ヒナゲシも加わってまさに爛漫。でも自分には少し「ムツゴイ」=方言で味が濃い、しつこいの意味になるが佐渡島限定ではなく、香川・愛媛でも使うらしい。
 その兆しは先月にあちこちの生け垣が一斉に赤い葉をつけてから。カナメモチ普及し過ぎ!花見にニューオータニの庭園に行ったが、植込みにクドイほどの赤色のセネッティ。和風庭園にそぐわない感じはオレだけ?もう5年前かららしいが「桜にもよく合う」と自賛しているのはサントリーの園芸事業子会社だった。そして町ではサツキはますます多色・大輪になり、霧島ツツジは密生してこれもクドイ真紅。和風の地味なものが好みなんだが、観たのは山吹くらい。でもこれも八重が多い。江戸人は大田道灌の故事を知ってか山吹が好きなようだ。新宿山吹町がゆかりの里らしいが日暮里にも碑がある。里娘が道灌に雨具代わりに出したのも「八重」でないと「ミノひとつない」の古歌が整なわぬ。実をつけぬ八重は株分けで増やすが繁殖力旺盛らしいので、やっぱり「ムツゴイ」(新宿中央公園銅像)……青いガクアジサイが咲く頃まで、しばし堪えることにしますか(笑)

散る桜に未練?

 あと一両日は楽しめそうだったのに、無情の嵐。これを「桜流しの雨です」とシブイ表現を知っていた若い気象予報士のお姉さんに拍手。風にあおられる様子は「花吹雪」。花びらが水面に浮かべば「花いかだ」等々、日本人は散る桜にも未練たらたらに美しい言葉で思いやる。また特攻隊で死んだ若者を「散華」と表現した。個人的に好きなのは、「花鎮(しず)め」という風習。これは古い!桜が散るのを不吉な兆しと考え、とくに疫病が流行ることを怖れた。そこで花に向けて「結実するまでゆっくりして(やすらいで)」と祈り、「鎮花祭」あるいは「やすらい祭」を催した。有名なのは京都・今宮神社の疫社に奉納する踊りで、綾傘の風流を押し立てて黒や赤のシャグマを付けた若者が激しく踊る(京都三大奇祭の一つ)。今年は15日の日曜日に開催されるからニュースに出るかも。これに魅かれるホントの理由は今宮神社の参道で向かい合っている超老舗(一和は紀元1000年!)の「あぶり餅」。きな粉をまぶした小さな餅をこんがり焼いて甘い白みそを付けた日本最古のスィーツ。実に、実に旨そうなのであります。まさに「花より団子」っす。
 なお、今年の自分の花見は、要予約と知らずに行った新宿御苑に撥ねられたものの、踵を返して四谷堤からニュ―オータニの庭へめぐり、弁慶橋~日枝神社と人並みに満喫。今日から想定外の仕事復活で「桜雨」に出くわしたのさ。

「御侍史」ってわかる?

 厚労省がすすめる「かかりつけ医療制度」によって、大学病院などは患者に「できるだけ居住地近隣の医療機関に行くように」と促すようになった。術後の定期健診だけの自分も近所のクリニックを探した。だが、それには従来の主治医から病歴などのデータを入れた「紹介状」を書いてもらう必要があり、昨日入手した。
 そこに書かれている言葉に注目。医院・担当名の後に「御侍史」と書かれている。「おんじし/ごじし」と読み、「御机下(おんきか/ごきか)」とも書く。意味は「先生に直接手紙するのは失礼なので、秘書や御付きの人宛てに」あるいは「直接渡さず机の下にでも」の意味。
なんと、これは医療業界だけの用語だった!
 業界内だけの専門用語=ジャーゴン(jargon)はどこの世界にもある。ヤクザの「ショバ代」、飲食店の「オアイソ」、店員の「〇番」(トイレ)、大工の「アバレル」、タクシーの「エントツ」、もちろん警備業界にも……そういえば「カラオケ」も元はバンドマン用語。1956年の宝塚争議で楽団員がスト。松下電器が協力して演奏テープだけ流して劇団の窮地を救った「空オーケストラ」が始まり。千昌夫?が先輩歌手に「カラオケもってこい」と言われて風呂桶(ケロリン桶)を持っていたために叱られたという話もある。
 個人の好みとして、業界通でもないのにジャーゴンを使うのは好きじゃないけどね……

「三日会わざれば……すべし」

 色々な条件が重なって正月休みでもないのに丸1週間も休んだ。本を書き進める好機だったのに何もせずただグウタラと過ごしてしまった。夏休みの宿題、受験勉強。確定申告……うざいこと後回し。ギリギリで間に合わせる、いつものパターン、反省!でも、もう治らん(笑)
 今日、1週間ぶりに職場復帰したら、この「グウタラ休み」のツケが来た。まず、駅や現場へ行くのに計20分歩くのだが、足のだるいこと痛いこと。筋肉が落ちた。次に頭が切り替わらず脳内音楽が消えない。tiktokを席巻するクリピー・ナッツの「♪bling bang bang born♪」がループする。先日までは科目三のクネクネダンス(別名ナルトダンス)の唄『一笑江湖DJ版』だったのに、移ろいが速い速い。そして食欲が出ないので昼を粗末にしてしまった。おまけにまた歯が欠けたために新調した入れ歯に不具合。休み中に補修しとくべきだった……てな具合で散々。でも明日から2日休みだからまた「グウタラ」するな、きっと。だいじょうかワシ?
 『三国志』(呉史)では戦上手だが無教養の呂蒙が親分孫権に「勉強せい」と怒られて発奮。短期間で猛烈に読書した。同僚で智将の魯粛さえ彼を見直した。得意顔の呂蒙が言った次の言葉が後世、人口に膾炙した。「士は、3日会わざれば刮目して(眼を見開いて)会うべし」(自分で言うのがカワイイ。「呉下の阿蒙に非ず」の逸話。阿がつくから軽い感じ「蒙ちゃん」)。
 ワシの場合は、こう言われているかもしれない。「老爺(阿土)に 三日会わざれば、呼吸をたしかめるべし」??ワォ、孤独死確定かよ!

後知恵で観る『ブレードランナー』

 去る19日に映画『ブレードランナー』の俳優M.E.ウォルシュが亡くなった。デッカード(H.フォード)にレプリカント抹殺を命じる警部役だったがあまり記憶にない。なにせ40年前の映画。たぶんレンタルビデオで観たと思う。
 映画は衝撃的だった。酸性雨降り続くダークな世界観、芸者が映る「わかもと」の巨大看板、「2つで十分ですよ」と日本語で言う屋台のオヤジ、レイチェル(S.ヤング)の息を呑む美しさ、ハリウッドデビュー間もないオランダの俳優銀髪R.ハウアーの名演、監督R.スコット+美術S.ミードのウデは『エイリアン』で実証済み……ともかくSF映画好きには超人気の古典で、各種の新版も続き『2049年版』も公開(2017)された。
 後日、色んな情報が出てきた。屋台のオヤジが「2つ」と言っていたのはウドン玉でなくメシにのせるグロい深海魚のようなものだった。整腸薬「わかもと」は強壮剤扱い。主役のデッカードもまたレプリカント。その名称はこの映画の造語。R.ハウアーのラストシーンのセリフと白いハトは彼のアイデアだった……等々。
 こういう「後知恵」をつけてからこの映画を観直したらまた違う感慨を持つと思うけど、そこまでの思い入れはない。個人的には、この2年後くらいに公開された『未来世紀ブラジル』の方が好きだ。全体にユーモアというか英国流ナンセンス(監督は「モンティ・パイソン」のテリー・ギリアム)、デニーロの忍者?も怪演だった。これもエンディングに何通りかの版があるようだが、サンバ「ブラジルの水彩画」が流れる中で逃亡するハッピー版が好みだな。
 う~ん、映画の話になると止まらんね~(笑)

心の洗濯日「ジャブジャブ」

 心の情操部分に栄養が回らないと気分が暗くなる。美術館やコンサートに行ったり、痛快な本を読んだり見た目もステキな旨いものがその栄養になる……なんて気取った言い方したけど、要はたまには気分転換=「心の洗濯」が必要だという話。
 今日はその「ジャブジャブ」?ができた。メインは洗足学園音大(溝の口)の定期演奏会、それも邦楽だった。エスコートしてくれたのは篠笛のセミプロでもある老友イオさん。
 自由が丘で待ち合せてまずは腹ごしらえ。食べログのランチ評価が高い「大山生煎店」。名物の焼小籠包(生煎)と中華粥で980円。アツアツで旨い!
 洗足音大は初めてだが立派なホールがいくつもあって色々な演奏会が開催中。邦楽は、津軽三味線や箏、中国琵琶、尺八などの楽器を用いた多彩なプログラムだった。中でも認識を改めたのは「箏≒琴」だった。3名ずつ2組の奏者が、時に競うように、時に合力するような曲だったがその音色は深くてしかもカラフルだった。結構、体力が必要そうだ。
 ラストは全員での大合奏。「熊野古道」という曲だったが、親しみやすい展開でちょっとポップだった。それもそのはず。作曲したのは林哲司。たしか今、話題の80年代シティポップの代表曲『真夜中のドア』(松原みき)などを作曲した人だった(演奏会の配信動画は、同大のHPから視聴できる)。
 最近は80年代の洋楽ばっか聴いていたから、まったくテイストの違う邦楽はどんな風に聴けるかなと思ったけど、これも「あり」だなと思った。
 美術館は光悦展を見逃がしたけど、「キリコ展」など面白そうそうなのがあちこちで始まる。さぁ、また「ジャブジャブ」しに行かなくちゃ。どうですか?ご一緒に(笑)

好きだけど難解な曲5選

1,ボヘミアンラプソディ(QUEEN
 rhapsody(狂詩曲)なんだから色んな曲想が混在するのはわかるけど、「♪ママ~人を殺しちゃった」からの「ガリレオガリレオ……フィガロ」だぜ。それにイタリア劇の狂言回し「スカラムーシュ」とか「魔王ベルゼブブ」って何だよ。

2.青い影(procol harum)
 バッハみたいなオルガンとゲイリー・ブルッカーのしゃがれた声に引きこまれるが、のっけのダンス名からして意味不明になる。だが、miller(粉挽屋)の話をしたら彼女が突然血の気を失った(pale)になったという流れも???のまま。これは14世紀の『カンタベリー・テール』に出てくる寝取られ男の話なのだ。つまり彼女が浮気したことを自分が知った、だから彼女が青ざめたという話。

3.ホテルカリフォルニア(Eagles
 ダブルネックの綺麗なイントロで「ようこそ、このホテルへ」と歓迎しているのだが、なぜかワインは置いてないし「アリバイ作ってね」とか「人々がケモノを刺そうとしてる」とか不思議な描写。最後も「いつでもチェックアウトできますが、ここからは出られません」と……謎だ!

4.スカボローフェア(simon and garfunkel
 映画『卒業』の挿入歌。魔除けのハーブを唱えたり、反戦風メッセージがあったり、理解不能な恋人への伝言などが錯綜。バラッドなど古い詩形式を踏まえているらしい。この曲の話は前に「ローズマリー」のことで書いたので、少し省くね。

5.はいからはくち(はっぴいえんど
 岡林信康高田渡らのバックバンドをやりながら「日本語ロック」を追求していたが、『風街ロマン』(別名「ゆでめん」)アルバムで松本隆が覚醒した。「風をあつめて」の「♪摩天楼の衣擦れが~♪」もイイんだが、奇妙さにおいては「はいからはくち」を推したい。個人的には大滝の曲がやっぱりすごいと思うんだけど……