h.Tsuchiya

My NEWS

2023-01-01から1年間の記事一覧

「年の瀬」を越せぬ人、3話

大晦日前の数日を「年の瀬」という。「瀬」は川底が浅くなったり川幅が狭くなったりして水流が急になる場所。日月の歩みを川の速い流れに例える。溜まったツケ金や気分の澱もさっぱりさせねば「年の瀬が越せない」。そんな切羽詰まった人間を描いた古い小説…

今年の「冬至」はとくにうれしい

先月の末頃から「日の入りが早いなぁ」と感じだして日々気持ちまで沈みがちだった。それも今日の「冬至」を境に逆転する(実際の日の出、日の入り時間はずれるけど)。「一陽来復」。二十四節季の中でも一番好きだ。 この「冬至」を境に新しい年、新しい春を…

「MOMOKA」の”お接待マンガ”

YouTubeで贔屓している「MOMOKA JAPAN」(フォロワー数80万人)が、ついにマンガ本になったので早速購入(講談社。ネットの現代ジャーナル系でプロモがすごい)。でも舞い上がってアナログ本で買ってしまった(本は増やさないと決め、つい昨日、多和田葉子の…

日本人が泣く特選場面2つ

あと1日で赤穂浪士討ち入りの日。自称「忠臣蔵」語り部の今日の噺は大いに泣ける話ですぞ!●その1 南部坂雪の別れ 大石内蔵助が14日の午後に訪ねたのは浅野内匠頭の妻阿久里が落飾して瑤泉院として暮らす南部坂の屋敷。阿久里は吉良を討つ話を聞きたいのだ…

共演、驚演、狂演……いやさ享演!

20世紀初頭?にナポリ人のV.モンティが作曲したマンドリン曲に「チャルダッシュ」がある。スローとアップテンポのパートが交互に演奏される軽快な曲で世界中で人気がある。元はハンガリーの酒場曲でロマ(ジプシー)たちが呑んで踊る伝統的な音楽ジャンルのこ…

カレンダーから消えた12月4日

明日12月4日は週初めで仕事再開。サザエさん症候群というかブルーマンデー気分ではあるが、やむなくしたくっぽいことを進め、ふと眺めたカレンダーを見てびっくり! なんと4日の日付だけが消えている、印刷されていないのだ! どこかの100均で買った卓上型の…

余談多めの「クレイン」噺

crain(クレイン)の第一義は「鶴」。そう「つる(吊る)」である(トホホ)。第二義は建設機械の起重機。重い物を吊り上げるアレだが種類がたくさんあるから車で動ける移動型2種の噺をちょっと…… 移動型クレインでよく見かけるのは「UNIC」かな? 古河ユニックが…

日曜昼下がりの映画館

終日どんよりした曇天で、気温も9度以下。しかも午後からは職場の研修があって、全然愉しくない日曜日になりそうだった……でも研修後、映画で気分を替えようと新宿武蔵野館へ。ここは戦前からの歴史があり徳川無声が専属弁士だった(誰ソレ話)。今は縮小して3…

60年後でも”真実”は不明

1963(昭和38)年11月22日、現地時間12時30分にケネディがダラスでパレード中に暗殺された。そのニュースは、11月23日午前5時28分に日本でも報じられた。それも米国から人工衛星(静止衛星ではない)で日本(国際電電)にTV電波を送る宇宙衛星実験開始直後だ…

人類には「オヤツ」が必要だ!

「オヤツ」の「ヤツ」は「八つ時」。昔の午後2時から4時の間のことで、この時間は多くの国でスナックタイムだ。英国には有名な「アフターヌーン・ティ」があり、スウェーデンには「フィカ」、フランスのは「カトゥルール」。スペイン・南米には「メリエンダ…

「お清め」の霊験あらたか…か?

築60年近い都営アパート解体工事が持ち現場の一つになった。ゲートや囲いなどの周辺整備に時間をかけ、やっと先週から居室のバラシに着手した。 その最初の日、人柄に味のある老監督が「気休めだけど、やっとくか!」と助手を連れて建物の周囲を巡りながら何…

秋草と外来種

ススキや桔梗、萩など秋の草花をあしらった「秋草」の図柄は、枯れゆく淋しさや侘びた風情があり、日本の伝統的な意匠だ。だがもう消えるかもしれない。 昨日から現場近くで見るのは、妙に自己主張の強い、名前も馴染みの薄い外来種の「秋草」だ。写真中央の…

棄てる本の「余滴」(5)

●「茶の話~茶事遍歴~」(陳舜臣) わが四谷左門町に「大日本茶道学会」なる建物がある。「茶道」は「ちゃどう」と読み(裏千家流)「さどう」(表千家流)ではないらしい。こういうことを言い立てるから「茶道なんてねずみ講くらいの価値と将来性しかない…

棄てる本の「余滴」(4)

●『杉浦康平のデザイン』(臼田捷治) 子が親より先に死ぬのは最大の親不孝。その報いで三途の河原で石を積み続けることになるが、鬼が来て蹴散らしてしまう……では弟子が”出藍の誉れ”を果たせず、師匠より先に死ぬとどんな報いを受けるのだろう……。 杉浦康平…

良い話と悪い話がある…

「良い話と悪い話があるけど、どっちから先に話すべき?」と言うのは心理学では「ゲイン•ロス(gain-loss)問題」の一種。良否や損得のギャップが大きいほど印象が強い。だから良い話を後にした方が印象が良くなるらしい。だがその逆の説もあるから心理学なん…

『百日紅』の花は過ぎたか……

亡き杉浦日向子が描いた漫画『百日紅(さるすべり)』は北斎の三女・お栄(筆名は応為)の物語。それを「クレヨンしんちゃん(映画版)」の監督・原恵一がアニメにしている。自分もここに記事を2度も書いた、(原作とは違うが、アニメの方はYouTubeでベトナム…

「ビリー・ジョエル」だぁとぅ‼(怒)

生コンミキサー誘導のために路地入口に立っていたら、近所のジジイが話しかけてきた。時間があるから応じたら、とんでもないことを言い出した。 「昨日、公園のベンチにいたらさ、オレのことを『ビリー・ジョーに似てる』っていうんだよ。誰なんだろう?『ビ…

さらに拡散!「ウマレル」現象

昨日の現場に夫婦見物人が登場。工事概要を読んですぐ引き揚げた。日本人は理解が速いし概して大人しい。これが欧米だと「ウマレル」さんになる。これを「度を越した野次馬」と訳して記事にしたのは3年前。再掲しておこう……「イタリア・ボロ―ニャの方言でこ…

「秋の昼長」?を使って

警備の仕事は多様。先月まで建設現場で常駐。日曜日は埼玉某市の祭(雑踏警備)だった。今日は鉄筋搬入誘導のスポット勤務……てな具合。哀しいのは日の入りが早くなって夕方5時半でもう暗いこと。気分も暗くなって帰っても何もする気になれず、「もつけねぇ」…

棄てる本の「余滴」(3)

●『漢文の素養』(加藤徹)「今どき、こんな本読む人いる?」。17年前にこの本が光文社新書から出るに際して、こう問うた人はいたと思う。時代的には胡錦涛・中国は反日デモも頻発していたが、経済の二けた成長が続いてホットな国だった。そこに『漢文力』(…

棄てる本の「余滴」(2)

●「川の文化」(北見俊夫) これは日本の川をめぐるフォークロア(民俗学)を手軽に読めるようまとめた講談社学術新書。この「余滴」シリーズは、中身の紹介でなく「最後のひとしずく」をしゃぶってみたという立場なので、興味のある方は「ためし読み」や電…

「向田邦子の水羊羹」がなんでィ!

寝落ち用にネットの「朗読」を聴く。先日は向田邦子の短編集『眠る盃』(1979)を前編・岸田今日子、後編・山岡久乃でやっていた。作家も朗読の二人も大好きだから愉しくて「寝落ち」できなかった(笑)。その一編に「水羊羹」があって「私は味醂干し評論家また…

「彼岸花」を巡る2曲と1品

彼岸休み(23日=秋分の日)を終えて現場に出たら「彼岸花」が咲いていた。毒花ながら咲く時を守って律義なもんだ。さすが「天上の花」=曼殊沙華(まんじゅしゃげ)。これを「マンジュ―シャカ」と読んで歌にしたのが阿木燿子&宇崎竜童で、唄ったのは山口百…

棄てる本の「余滴」(1)

毎週の資源ごみの日に蔵書から数冊の本を縛って棄ててきた。そしてとうとう7段あった本棚も残るは数冊の文庫本だけになった。「本を棄てる」のは他のゴミを捨てるのと違って、「文化的価値」を踏みつけにするようで少し後ろめたい。これはレコードなどでも同…

移動祝祭日&ある「女傑」

明後日9月18日は祝日「敬老の日」だ。高齢者(65歳以上)人口が国民の約3割(3627万人)にもなっているのを祝うべきなのか?むしろ尊厳死を合法化して祝う方が良い気がするが……。「敬老の日」は本来9月15日だったがそのいわれは、昭和22(1947年)のこの日、兵…

「橋の銘板」にある「きまり」

今の現場は昔からある集落で、町境には小さいながらも1級河川が流れ、そこに築60年以上のコンクリート橋がかかっている。場所が簡単に特定されるとまずいから、川の名前は省略するが、橋のたもと(図の親柱①)にある銘板には「小源治橋」とある。きっと男兄…

「夏の雲」という名の公園!

練馬・光が丘団地に「夏の雲公園」という名の区立公園があることを今日、偶然に知った。なんとセンスの良いネーミングか!調べたら54,033㎡と東京ドームより広く、プロムナードや多目的広場、ジャブジャブ池、椿の庭、テニスコートなどもあり、フリマやお祭…

長月の奇夢夜話(3)

「奇夢」話はこの記事で一旦お休み。夢が面白いほど半覚醒の状態で「続き」を観たくなったり細部の整合性を考えたりするようになり、起きてからさらに気になることを調べたりもする。こうなると「夢」話ではなくただの「夢想プロット」になる。夢は瞬間のイ…

長月の奇夢夜話(2)

●03 仔馬と寝る女 屏風のような岩に守られた奥深い入り江に、大型クルーザーが陸に上がっている。周囲を低く積んだ石垣が囲む。ここがヨットやクルーザーの「キール(竜骨)」の設計者として名高い「センセー」の住居兼工房だ。「センセー」は偉ぶる風はなく…

長月の奇夢夜話(1)

HCU(高度治療室)やICU(集中治療室)では、食事も排泄も自覚ないまま進み、とくに夜は無音・無刺激の状態になる。こういう環境で長い時間過ごしていると、現実離れした奇妙な夢を見ることが多かった。レム睡眠で半覚醒状態だから覚えている。いや、何とか忘れ…