h.Tsuchiya

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爺歌73 「酔生夢死」と『みんな夢の中』

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邯鄲の夢

 恥をさらすが「酔生夢死」の意味を真逆に理解していた。「酔ったように生きて、夢を見るように死ぬ」というのを「なんとステキじゃないか!」と思っていた。だが本当は「つまらない生き方」のこと。原典では「どんなに才能があっても目先のことにとらわれて自覚のない生き方は『酔生夢死』だ」とある(程子)……これから連想されるのは『邯鄲の夢』(『一炊の夢』)。立身出世を目指して都(趙の邯鄲)に行こうとした青年(盧生)が、途中、メシ屋に入る。が「粟が炊けるまで待て」と言われる。居合わせた老人が「寝て待つならこれを」と貸してくれた枕でウトウト……するとすべての願いが叶う50年間の夢を見、80を過ぎて死ぬところで目覚める。メシはまだ炊けていなかったが、「自分は、なんと虚しい夢を追っていたことか」と自覚し、老人(実は仙人)に礼を言って故郷に帰った。漫画『笑ゥせぇるすまん』にもこの話をひねったネタがある……そして歌だが、高田恭子の『みんな夢の中』(1969年浜口庫之助作)の歌詞は「♪泣かないで なげかないで 消えていた面影も みんな夢の中♪」で終わる。玉置浩二のカバー版がおすすめ。人生を少しシニカルに観る傾きがあるワシには好きな話、好きな歌だ。さて、今夜も一杯、ひっかけて寝るか。どんな夢をみるのかな……