先月27日、佐渡金山の世界文化遺産登録が決まり県内外に祝賀の声が満ちた。でも正直にいうと都内在住の自分の周囲の関心は薄い。2007年の石見銀山含め国内26件目ということや「強制連行/強制労働」のクレームでウンザリさせられたことも起因しているだろう。
今回は丁寧に展示説明するものの「強制連行/強制労働」の表現は用いていないのは正しい。佐渡市議・広瀬大海氏がそのことを確かめてFBで報告していたが、そのバランスの取れた見識は偉い!。
心配なの今後だ。「強制連行/強制労働」を言い立てる人はまだ多いから展示内容に言いがかりをつける輩は出てくる。2年前に出た竹内某氏の『佐渡鉱山と朝鮮人労働』(岩波ブックレット)などはその典型だが、どうせ読むなら、変な論理や推断も多々あるが、新潟国際情報大学情報文化学部紀要に出た広瀬貞三氏の論文『佐渡鉱山と朝鮮人労働者』(PDF29枚)の方がまだ良い。またwikiの「強制連行」の記事も客観性が高い。前出竹内氏は地元静岡の伊豆鉱山関連のデータも出しているが、皮肉なことに客観的なデータほど偏見を薄めている。
伊豆は土肥など各地に金銀山があった(佐渡に次ぐ産出量)。また戦前早くから朝鮮人が工夫として働きに来ていた。清水宏監督の映画『有りがたうさん』には、そんな人々が出て来るし、山師が娘二人も身売りして金山に取りつかれている話も出てくる。川端康成の原作とは大きく違うが大傑作(YouTubeで視聴可)。二二六事件があり翌年が日華事変という1936年の映画だが、まだ国中が狂気じみた自滅路線に踏み込む前の空気感が漂っている。佐渡もこうだっただろう。
さてさて登録はなったものの佐渡の課題は多い。石見銀山の現況も調べたいし、観光施策だけでなく島存続の全体戦略も気になる。頑張ってほしいなぁ