唐の詩人・元稹は、産褥で亡くなった妻に「結婚した頃は貧しかったね。今の自分の生活は少し良くなったけど、お前のことを思い出すたびに悲しくなるよ」という詩『貧賤夫妻百事哀』を書いた。
これが現代の香港では意味が違って、「貧乏暮らしするようなら結婚も哀しい」という言葉として流布するという。『名もなく貧しく美しく』(1961年)とは正反対。夫婦観、貧富観の違いもあるようだ。
さてそれはそれ。ワシも貧乏だから夕食も貧賤。今夜のメシは安かった鰯を佃煮に、ごぼう天と大根を煮、干し大根皮とキュウリを梅肉で和えた。……塩分過多かもしれないが、食欲を取り戻したいと思った。妻というべき家人がいないことがかろうじて救いかもしれない。