あと一両日は楽しめそうだったのに、無情の嵐。これを「桜流しの雨です」とシブイ表現を知っていた若い気象予報士のお姉さんに拍手。風にあおられる様子は「花吹雪」。花びらが水面に浮かべば「花いかだ」等々、日本人は散る桜にも未練たらたらに美しい言葉で思いやる。また特攻隊で死んだ若者を「散華」と表現した。個人的に好きなのは、「花鎮(しず)め」という風習。これは古い!桜が散るのを不吉な兆しと考え、とくに疫病が流行ることを怖れた。そこで花に向けて「結実するまでゆっくりして(やすらいで)」と祈り、「鎮花祭」あるいは「やすらい祭」を催した。有名なのは京都・今宮神社の疫社に奉納する踊りで、綾傘の風流を押し立てて黒や赤のシャグマを付けた若者が激しく踊る(京都三大奇祭の一つ)。今年は15日の日曜日に開催されるからニュースに出るかも。これに魅かれるホントの理由は今宮神社の参道で向かい合っている超老舗(一和は紀元1000年!)の「あぶり餅」。きな粉をまぶした小さな餅をこんがり焼いて甘い白みそを付けた日本最古のスィーツ。実に、実に旨そうなのであります。まさに「花より団子」っす。
なお、今年の自分の花見は、要予約と知らずに行った新宿御苑に撥ねられたものの、踵を返して四谷堤からニュ―オータニの庭へめぐり、弁慶橋~日枝神社と人並みに満喫。今日から想定外の仕事復活で「桜雨」に出くわしたのさ。