h.Tsuchiya

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カタバミとクローバー

「春の地味な花」話つづき。漱石は「スミレほど小さき人に生まれたし」と詠んだ。なるほど地味だがスミレは良き花。でもこの句には彼の憂鬱が感じられる。
 自分的に良き花としてカタバミ(別名;酢漿草(サクショウソウ))を推したい。ワラワラと咲くが、日が陰るととたんにクシュンとしぼむ。その様子が「片方喰われたみたい」というので片喰(カタバミ)の名がついた。でも丈夫な多年草で根付いたらしっかり増えることから、一族繁栄の縁起良い植物とされた。が現在は外来種も増え駆除に手をやくほど。
 昔からその三つ葉の造形は家紋に使われてきた(酒井、長宗我部、藤堂など)。その変形の剣片喰(けんかたばみ)紋では宇喜多(浮田)秀家が有名。秀吉五奉行の一人、関ヶ原の敗将で最後は八丈島流罪。でもこの島を深く愛し、没するまで50年も過ごした。妻・豪姫の実家前田家からの仕送りが明治2年まで続いたのもゆかしい。
 ところで三つ葉の形ならシロツメグサ(クローバー)の方がポピュラーだろう。でも和物っぽくない。それも当然、明治に牧草として輸入されたものであり「四つ葉が幸運、幸福または愛」という迷信も輸入モノ(笑)。なお、五つ葉=金運から九つ葉=神運までそれぞれにいわれがあるようだ。余談、ももクロZのロゴはモモと四つ葉クローバーを組み合わせている。