h.Tsuchiya

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爺歌39 実りの秋になぜか「替え歌」

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 「馬肥ゆる秋」というくらいに何を食べても旨い季節、なんて感慨はちょっと甘い。これは「匈奴が馬を強くして襲ってくる季節だ」という警句が出典と、ついさっき知った(匈奴至秋、馬肥弓勁:「漢書匈奴伝」)
 ネットだけを新聞・TV替わりにしていると、大ネタよりも小ネタを逃すことが難点だ。さっきもツマミを作りながら『天城越え』を鼻歌でフンフンやっていてふと思った。この替え歌を昔TVで聴いたなぁと。早速、サーチすると出るわ出るわ。己れの甘味好きを恨む「甘味越え」、BLやショタ趣味を嗤う「オタク萌え」、一番多いのが下ネタ「あえぎ声」。拾った画像は「大分のクチキ」を名乗る入れ墨爺だった。観なきゃ良かった、トホホ。
 以下、懐かしのフレーズをご一緒に♪「瀬戸ワンタン日暮れ天丼 」「チンコを剥いてよハニー」「緑の中を走り抜けてくバッタがおるで 」「あなたは もう捨てたのカツラ~」「大きなフグリの木下君 」「私の私のハゲは 肥大危機 」「妊娠したかとヤモメに問えば~」……オソマツ!

571 おいぼれとリスペクトの系譜

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 年老いた酔いどれの売れない芸人を『Mr.Bojangles』という歌にしたのは J. J. ウォーカー(1968)。そのモデルは20年代の名タップ・ダンサーBill Robinsonと言われる。この人、サミー・ディビスJrのタップの先生だった。貧窮して死んだが、葬儀には50万人もの市民が駆け付けた。それを踏まえてサミー他、ジョン・デンバー、ホィットニー・ヒューストン、ニール・ダイヤモンドらがカバーしている。またCCRの『プラウド・メアリー』をまったく違う歌と踊りのパフォーマンスにしたのはティナ・ターナー。それに惚れて本人の前で演じたビョンセのも絶品。先日書いた12歳のコートニーはジャニスをリスペクト。日本ではひばりに憧れた島倉千代子がいて二人に憧れた森昌子がいる。老いても、憧れてもらえるなら素晴しい。……憧れ(憧憬)は、個人だけでなく社会や国を動かす巨大な力にもなることを力説したい。日本はかつて何に憧れた?今、誰に何を憧れられているだろう?

爺本15 いつでも死んで見せますわ♪『風の盆恋唄』

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 今日から9月、富山八尾町で『おわら風の盆』が始まる。徳島阿波踊りが「陽」ならこちらは「陰」の魅力。なぜ「八尾」?「おわら」?「風の盆」?「胡弓」?……謎は一杯だが、地元HP(yatsuo.net/kazenobon/)に要領良くまとめてある。また、「阿波踊り」同様、都内でも祐天寺、西荻、八王子で「風の舞」なる”まがいもの”が見られる。
 本場の歌詞は色恋で一杯。「私ゃあなたに あげたいものは 金の成る木と オワラ 卵酒」「虎は千里の藪さえ越すに 障子一重が オワラ ままならぬ」「恋の病も なおしてくれる 粋な富山の オワラ 薬売り」「唄で濡れたか 夜露を着たか 鬢がほつれた オワラ 風の盆」「二百十日に 風さえ吹かにゃ 早稲の米喰うて オワラ 踊ります」「来るか来るかと 待たせておいて 何処へそれたか オワラ 夏の雨」……バリエーションの豊かさに「佐渡おけさ」はとても及ばない。
 この「風の盆」を書いた小説に高橋治の『風の盆恋唄』(1987)がある。ある読者は「現実離れした洗練さで会話するW不倫」物語と評した。この本があって89年に同名の歌ができた(唄:石川さゆり)。その歌詞(なかにし礼)もなかなか。「♪私あなたの腕の中 跳ねてはじけて鮎になる この命ほしいなら いつでも死んで見せますわ♪」。うん、オトナだね。

爺歌38 大好き!」雷ゴロゴロピカピカ

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 今夜20時頃から、都内東部に激しい落雷。時間とともに西に(都心)に向かったがほぼ40分で止んだ。昼間36度まで上がっていたが、今年、初のすごい夕立ち。夏の終りそして「稲光」つまり稲の熟しを知らせる光でもある。アホ丸出しだけど、実はワシは雷&夕立ちが大好き。だから南国のスコールにも憧れる。
 江戸の夕立ちで最も有名なイメ―ジは、広重の両国大橋の夕立ち」だろうが、個人的には、印刷屋?ベンジャミン・フランクリンが1752年に行った凧とライデン瓶による蓄電実験。これが後の避雷針の発明にも繋がった。自分が考えたプロットは、避雷針型のパッシブ(受け身)対策でなく、電子を発振させるアクティブ型を発明する男のドラマ。なにせ雷害による家電の被害総額は年間約 533 億円との推計もあるから、世界市場相手にした男は巨額の大儲け……というもの。

 ま、そんなホラは置いといて、こっちの名曲を聴きませんか?
「夕立 そこまで来ている♪  雷ゴロゴロピカピカ 情け容赦 ないみたいだ♪ 誰もが一目散へと どこかへ走る カエルはうれしなきをしてる♪」(井上陽水『夕立ち』1974年)

爺飯51 真っ昼間の新宿で「台湾スィーツ」

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 平日、昼どきの新宿はちょっと面白い。とくに昔からの「中村屋」「ライオン」「つな八」「船橋屋」「とんかつ三太」「高野フルーツパーラー」……等々は、どこも団塊ジジババで一杯だ。かつてのヒッピー・タウンにそれなりの想い入れがあると見た。かくいうワシも、孫みたいな年の涼くんと「中村屋」に行き、看板料理「インドカリー」(1500円)。久しぶりだったが変わらない1927年以来の伝統の味だった。
 飯のあと、彼がストレス多かった前職場を円満リタイアした話がもっと聴きたくて、すぐ近くの、最近、東京進出してきた「台湾スィーツ」の店「台湾甜商店」に行く。列に並んで頼んだのは黒糖仙草ゼリー入りのミルクティ。タピオカ増量してもらって680円。オペレーションがもたついて見えたがそれなりに新鮮。この店の経営はリープ(株)で本社大阪のタピオカ屋。社長の菅さんは台湾人。ご当人とおぼしき青年が陣頭指揮していた。彼については、古いブログ記事が1本見つかっただけで経営のお手並みはよく分からん。……ともかく昼下がりの新宿風景は、色んな物語が見つかるのですよ。

爺飯50 「畑のするめ」をリサーチ

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 生大根より栄養価が高い健康食品として切干大根が見直されているらしく、近所のスーパーでもワゴン売りしている。また6次産業化したい農家も商品化に熱心だ。友人からいただいたのは「畑のするめ」なる加工品。通常の切干より時間をかけて乾燥し塩で味付け、スナック感覚で食べられるようにしたもの(①山梨・北杜市)。ツマミとして旨い。気になって少し調べると、②静岡の天竜・春野町は「山のするめ大根」を売っている。➂京都・山科の障害者授産施設が作っている「畑のするめ」は、塩と糠で漬け込んだ後、千切りし、天日乾燥させたもの。「すぐき」っぽい味というのはいかにも京都。④は、新潟・上越下正善寺のNPO法人が作っている「畑のするめ」「畑の貝柱」。どちらも甘酢漬け大根を切り方だけ変えて食品乾燥機に15時間以上入れ、カリカリの状態にしたもの。……各地で色んな工夫をしている。6次産業化は、市場戦略が必要な時代だとわかる。オマケの⑤は本物のスルメを塩麴で漬けた家庭料理。これは旨いだろう。

爺飯49 ワイセツ物か?「ち〇ぼじぇじぇ」

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 本来、冬のものなのに、季節はずれの生タラコが1パック250円と妙に安かった。スケトウタラ(鯳鱈)の子だろう。何度も書いているが、この魚をスケソウダラ(助宗鱈)と呼ぶのはおそらく間違い。古代、「スケト」のことを「サド」と呼んだとの説(『秉穂録』)があるようだが怪しい。でも講釈はやめとこ。佐渡では冬場にもっと大きなのを甘醤油で煮て食べたものだ。卵の方は、このサイズだと、やたらと男の子のアレに似ているし、白子のほうはやはりその玉袋そっくりになる。それで子供たちは「ち〇ぼじぇじぇ」と呼んだものだ。魚の幼児語として「じぇじぇ」は、「とと」ほど一般的ではないかもしれないが、ともかくわが家ではそう称した。……今回は大根と一緒に煮た。普通に旨かったけど、次はやっぱり寒い季節になってから食べようと思う。ウナギも本当は冬場の方が旨いんだよね。