h.Tsuchiya

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ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その9)

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 この冬のボーナスが支給された(民間大手平均83万円、国家公務員が同65万円)。ローンや貯金に繰り込む家庭もあろうが、”アブク銭”と浮かれる人もいるだろう。古今東西変わらぬ人間のサガを見ると、アブク銭は必ずファッション、持ち物、車、異性、ギャンブルにつぎ込まれる。有用な使い途を択ぶ人は少なく、金と人品はまるで相関しない。……今日、高級住宅地のスーパーで駐車場の誘導をしている爺の話を聞いた。「中途半端な”高級外車”に乗って来る奴に限って、割り込みやクレームの常連。『いらっしゃいませ』と丁寧に頭下げても無視。それが、いくら貯めても千円前後のポイント・デーに限って押し寄せるんだから”お里”が知れる。下町のおばちゃんの方がよっぽど人間が練れているよ」。自分も似たような体験をしているし、呑み屋やデパート、コンビニで働く人たちも同様の見聞をしている。……ボーナス経験皆無だからヒガむんじゃないけど、誰か、「アブク銭野郎ホイホイ」でも発明してくれないかと思う。

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その8)

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 (「佇む哲人」続き) その爺が唐突に話しかけてきた。「君、マズロー自己実現欲求説知ってるだろ?」「はぁ、5段階説ですね」「彼は後年、6段階目に『自己超越欲求』があると唱えたね。人口の12%がそうだ、と。これがよくわからん」。後にも先にも話はこれだけ。以後、どの現場でも会わない。……人間は、生き抜くため、自分を認めてもらうための欲求を持っていて、段階的にそれを満たそうとするというのがマズローの説。欠乏感から脱すると自分らしさを高める成長欲求になる。「自己超越」は、自分以上になろうということだろう(たぶん)。こうなると米国流実用哲学よりも仏教の「悟り」の世界じゃないのかと、思った。この人、托鉢坊主になった方が良いとも。……連想が跳んだ。10年前、佐渡の北の山から吹き下ろすみぞれ交じりの寒風の中、橋のつけ替え工事で周囲は田んぼしかない場所に一人立哨する警備員がいた。通行人も居ず、車もマレ。休める公園もコンビニもない。彼の脳裏の中に去来していた「欲求」は何だったろうかと今になって思う。あの「哲人」の所在は不明だ。

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その7)

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 リクルートが1991年に「ガテン」という肉体労働、ブルーカラー向けの求人誌を出してから3K職場にも少し光があたった。しかし同誌は2009年に廃刊。理由はわからないが、3Kどころか「甲斐がない」「替えがきく」「給料安い」「カッコ悪い」職場は厳然としてあり続ける。そこでは職人肌のプロ・ガテンと、外国人と死にかけ老人と、吹き溜まってきたようなクズ・ガテンが混在する。資格を持つプロ・ガテンの仕事ぶりはムダがなく美しい。解体した足場や型枠もきれいにリズミカルに片づける。クズはあくまでクズだ。こういう職場では、「ヤンキーのり」や「筋肉アタマ」だけでなく、「元インテリ職」とか「物知り」をひけらかす輩も敬遠される。先日は、ある現場を舞台にした刑事小説をわざわざ持参して周辺事物の解説をしてくれた爺さんがいた。仕事はできる人なのでありがたく拝聴した。かと思えば、寡黙の塊みたいな70後半の爺がいて、ポツネンと警備の立哨位置に佇む。後に「佇む哲人」とあだ名をつけた。(この話、次回へ)

爺飯62 「ちまちま好き」が止まらない

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 いつからこうなったのか自分でもわからんが、台所で「ちまちま」したことをやることが多い。例①レモン・ハチミツ汁を作った残りの皮。果肉をこそげてピールを冷凍。焼き魚やスープに使う ②きんぴらにして余ったゴボウを少し茹でて甘味噌漬け。刻んでおにぎりの具用 ➂同じくおにぎりの定番具として、梅干し果肉とおかかとハチミツのミックス ④ドリップコーヒーの滓を天日に干せば、冷蔵庫脱臭剤の活性炭代わりになるだろうと考えた。効能が薄まったらまた天日に干せば再活性化する(はず)。……この「ちまちま」趣味は何だ? どうもゴミや脇役扱いして「退場」させるのがイヤで、もう少し舞台に置きたい監督の気分に近いかも。ともすると主役などどうでも良くなる。もしかすると無意識に、こういう「ちまちま」ものの運命に自分を重ねているのか……。オレってそんなに自己愛は強くないと思っていたが、齢かな?

爺歌37 ヒートショック注意の『寒い朝』

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 今日(9日)は都心でも10度に届かない「寒い朝」の日曜日。つい口をついて出るのが「北風吹き抜く~♪寒い朝も心ひとつであたたかくなる♪」(1962年)の歌詞。明るいというかノーテンキというか、いまどきにはない歌詞だ。だが、爺の記憶力はアヤシイ。長いこと、これは吉永小百合橋幸夫のデュエットだと思い込んでいた。それは『いつでも夢を』の間違い。後者は同年に半年遅れで出たのだった。気づいたのは映画『赤い蕾と白い花』(原作:石坂洋次郎)を見つけたこと。経緯はわからないが、曲先行で作ったものの夏場の公開で「寒い朝」はまずかろうというので題名を変えたらしい。映画の中身も、明るいというかノーテンキな石坂調……。
 郷里・佐渡は本土側より温暖とはいえ、今朝は1度とか。霜の降りた道を歯を食いしばるようにして身をすくめながら通学したのが「寒い朝」の記憶。上京して、東京の冬はなんと生ぬるいかと思った。……それからン十年。卒中やヒートショックを気にして「寒い朝」を迎えている。

ほぼリアル「就老(就活老人)日記」(その6)

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 「治験」というバイトがある。市販前の最終チェックとして人体で行う新薬試験のこと。「それ、やばくない?」と思う人も多いが、健康リスクはほとんどない。このバイトに応募するには、まずたくさんある「治験バイト専門派遣会社」に登録に行く。簡単な身体検査後、登録すれば、「65歳以下の健康な男女」とか「夜、2度以上トイレに行く人」、「血圧が気になる人」「過去に〇〇の病歴経験者」など、条件に合いそうな仕事メールが来る。だが、「健康過ぎても、不健康でもイケない」というサジ加減がある。「禁煙半年以上ということに」「サプリは常用してないことに」などと会社から助言されることもある。そこは「健康診断みたいなもの」と割り切ればいい。2時間の事前健診に行くだけで2~3千円即金払い。そこをパスして本当の治験バイトに採用されると、数回の通院、数週間の入院で数十万円になるから、家で鼻毛を抜いているよりマシだ。その道のプロたちもたくさんいるから要領を聴いたらいいだろう。

爺飯61 飯田橋で「餃子」に迷ったら

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 久々に爺飯ネタ。1954年に神保町で、満州帰りの「おけい」姉さんが日本で初めて「焼き餃子」を始めたという。中国東北部で常食の水餃子だが、前夜余ったのを鉄鍋で焼いて食べるのを見てマネしたのだという。名物おかみで人気も出たが、事情あって閉店に。「それはいけない!」と店の承継を買って出たのが常連だった建築業者の馬道さん。20余年前に飯田橋に越してからも、豚粗挽、白菜、ニラを使った羽根つき餃子がTVでも何度も紹介され、超人気店に。飯田橋サクラテラスの脇に大勝軒や青葉と並んでいるこの店に、一昨日初めて来た。でも正直言うと、味は普通。値段600円と高め。タンメンや焼きそばも人気らしいが好みで評価は分かれそう。……飯田橋にはもう一軒、やはり「初めて焼き餃子を始めた」と称する店「珉珉」がサクラテラスにある。こちらはニンニク入り、値段も少し安いらしい。この次は、こちらに行ってみようかな。でも、個人的には焼きなら吉祥寺の「みんみん」、水餃子なら「シーアン」が好きだなぁ。あ、蒲田の「歓迎」もあったか。