h.Tsuchiya

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爺本15 いつでも死んで見せますわ♪『風の盆恋唄』

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 今日から9月、富山八尾町で『おわら風の盆』が始まる。徳島阿波踊りが「陽」ならこちらは「陰」の魅力。なぜ「八尾」?「おわら」?「風の盆」?「胡弓」?……謎は一杯だが、地元HP(yatsuo.net/kazenobon/)に要領良くまとめてある。また、「阿波踊り」同様、都内でも祐天寺、西荻、八王子で「風の舞」なる”まがいもの”が見られる。
 本場の歌詞は色恋で一杯。「私ゃあなたに あげたいものは 金の成る木と オワラ 卵酒」「虎は千里の藪さえ越すに 障子一重が オワラ ままならぬ」「恋の病も なおしてくれる 粋な富山の オワラ 薬売り」「唄で濡れたか 夜露を着たか 鬢がほつれた オワラ 風の盆」「二百十日に 風さえ吹かにゃ 早稲の米喰うて オワラ 踊ります」「来るか来るかと 待たせておいて 何処へそれたか オワラ 夏の雨」……バリエーションの豊かさに「佐渡おけさ」はとても及ばない。
 この「風の盆」を書いた小説に高橋治の『風の盆恋唄』(1987)がある。ある読者は「現実離れした洗練さで会話するW不倫」物語と評した。この本があって89年に同名の歌ができた(唄:石川さゆり)。その歌詞(なかにし礼)もなかなか。「♪私あなたの腕の中 跳ねてはじけて鮎になる この命ほしいなら いつでも死んで見せますわ♪」。うん、オトナだね。