h.Tsuchiya

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情緒に浸る「おわら風の盆」中継

 昨晩(9/1)から明晩(9/3)まで富山・八尾町で伝統の「おわら風の盆」が3年ぶりに開催され、いくつかのチャネルがYouTube中継もやっている(写真は越中八尾観光協会)。町流しと舞台公演の両方が観られから晩酌しながら鑑賞するのが良さそうだ。
 立春から二百十日にあたるこの時期は台風の厄日。収穫目前の稲が無事であって欲しいと風に祈るから「風の盆」で、「おわら」は唄の掛け声だろう。やたら高い声と胡弓が妙に哀切を帯びる。ま、かったるいとも見えるが、女衆の妖艶さもいいが、男衆の農作業の動作をふまえたというキレのある所作も悪くない。
 暗くて狭く、アクセスも不便で、旅館も飯屋も数軒しかない山間の小さな町に3日間で20万人も全国から集まるのが不思議でしょうがない。心浮き立つような派手な祭りや催事は夏にはたくさんなあるのに、真逆の情緒が大和心の琴線に触れるものがあるのかもしれない。
 自分は北陸の歴史本を編集してた頃から知っていたが、当時は「地味くさ~」としか思えなかった。石川さゆりの『風の盆恋唄』(1989、作詞:なかにし礼。作曲:三木たかし)を9年後の紅白で見てから気になりだした。心中覚悟の熟年男女の切なく激しい心情。なかにしの詩は高橋治の原作小説の上手なエキス抽出だった。今夜のライブ中継に映っている観客の何パーセントかはこの歌にインスパイアされたかもしれない……俺も心中してみたい。いやそれより心筋梗塞で逝くこと心配する歳だわさ(笑)