h.Tsuchiya

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「毎日が日曜日」な人々

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時は弥生3月。人生ステージが動き出す季節だ。再雇用分の定年を迎えた知人が「ついに『毎日が日曜日』だ」とつぶやいた。40年前の城山三郎の商社物小説から生まれた流行語がまだ生きていた!小説では言葉のトーンが、ノー天気な色合いから「無為にして怠惰」な日常や、孤老の悲哀など刻々変化する。人生は永い。老後の世話まで看てもらう某省の役人には、自殺の聖歌『暗い日曜日♪』でも聴かせてやりたいんだが……

与太話になったので話を本に戻すと、城山は終わりの方でこう書いている。
「ただ気ままに、長生きだけを心がけようと思った。だが、いまとなってわかるのは、『無為にして怠惰』が『気ままに長生き』と直結してないらしいということである。
『無為にして怠惰』は、いまの日本では、とても黄金の色はしていない。灰色か、せいぜい銅色の生活である。『気ままに長生き』するためには少しばかり内容があり、働きがいのある生活が必要のようであった。」
……それがどんな生活なのか? これを書いた頃の城山には、まだ確信の持てる続きが書けなかった気がする。だから67歳になった自分が読むと、少し物足りない「入門ガイド」なのだ。

『エリナリグビー』の孤独

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ビートルズの『エリナリグビー』はストリングスとコーラスが美しい名曲だが、「孤独と死を歌った陰気くさい歌」(『夜のフロスト』創元推理文庫)でもある。結婚式でまかれる米粒を拾って暮らすホームレスの彼女と、屯する教会のこれまた孤独なマッケンジー神父が出てくる。歌詞は「この寂しい人々はどこから来て、どこにいるべきなの?」と繰り返す。でも、孤独は相対的なもの。「Lives in a dream」(夢見心地)で生きている彼女には関係ない。……結構、深い歌だよな。(写真はリバプールにある彼女の銅像

中国映画の黄金期?

1880年代半ばから1990年代初頭の中国映画たとえば『黄色い大地』『紅いコーリャン』『菊豆』『紅夢』『さらば、わが愛/覇王別姫』など張芸謀や陳凱歌ら”第五世代”の作品は、原作も実に面白かった。Fuckとガンとカーチェイスとコカインばかりのハリウッド映画は明らかに糞だが今の日本映画はそれ以下かも。原作がないからか? あのハルキさんじゃぁねぇ……

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爺飯10 「しぐれ煮」自論

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貝や肉などの生姜風味の佃煮を「時雨(しぐれ)煮」と呼ぶ。「元は桑名名物の『時雨ハマグリ』を……云々」という話は置いて自論。ふつうに佃煮にすると食材が固くなるが、強火で短時間に煮ると濃い味でもふっくらできる。ジブジブ煮ては瞬時休んで汁を減らし、また煮詰める作業はまさに「時雨」だと思うが。牡蠣を焼き豆腐に添えてみた。

ロシア映画の掘出物

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ロシアものもう一話。此頃、現代ロシア映画にはまっている。映像の美しい『The Island』、モンゴル台頭を描く『The Horde』、エルミタージュ幻想の『Russian Ark』、主人公が日本人ヤクザ牧師の
『Confession of Samurai』……でも掘出物No,1は、1940年代のSLどうしが激突する『The Edge』だ。間違いなくロシア人が好きになる!

ロシア革命って知ってる?

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パンを求める民衆に軍隊が発砲したことに始まる一連のロシア革命は、100年前の2月に始まった。でもその歴史的評価はどうだろう? 世界にはまだ社会主義体制の国があるが、科学的先進性もロマンも期待できない。ただ国や政治を考える材料にはなったかもしれない。(写真は映画『ラスプーチン』)