h.Tsuchiya

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爺歌28 「ミーハー」語源のアノ人と『銭形平次』

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 軽薄な流行かぶれを「ミーハー」というようになったのは1927年からとはっきりしている。スィーツの「ミつまめ」と当時のアイドル「林(ハやし)長二郎」を追っかける輩を指したのだ。「林」?は顔切り事件前の長谷川一夫の芸名で、この人の銭形平次役が「工夫があって一番良い」と評したのは原作者の野村胡堂。胡堂は「平次のモデルは『水滸伝』の礫投げ・張清だ」とも明かしている。……27年間で380篇以上も書かれた銭形平次シリーズはたびたび映画やTVドラマにもなったが、大川橋蔵主演で「なんだ神田の明神下で~♪」という舟木一夫の主題歌も良かった。胡堂は生前、神田明神に「平次塚」を建てるのを断固拒んだのだが、当人は、尊敬する先輩岡本綺堂の『半七捕物帳』の半七塚を浅草花屋敷に建てたのだから、泉下から文句を言ってもはじまるメェ。ちなみに平次が投げた銭「寛永通宝」は今だと30円くらい、ちゃんと回収したってヨ。

爺歌27 父も「その日その日~のでき心♪」だった?

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 大正6年生まれの父が存命なら100を超えていた。佐渡・石名の冷飯食い(三男)が、番匠(大工)見習いから陸軍に入り、各地を10年転戦して終戦少尉で除隊。兄たちを追って佐渡・新穂へ引揚げ。臨時米穀検査員の仕事を見つけ、その後農林省技官に本採用。以来40年以上勤続、大きな過誤もなくワシと姉を育てた。こう書くと謹厳そうな印象だが、田舎芸者とにやついている姿や弥彦神社社殿前で佐渡おけさの衣装で賞状を持つ証拠写真もある。そう、ほどほどに”遊び人(軟派)”だったようだ。自分が親戚から「老いてますます父親そっくり!」と言われるようになり、すごく嫌だったが、この頃は「もっと一緒に遊び、呑みたかったなぁ」と思えるようになってきた。そして一緒に唄いたいのが戦前からのこの曲『侍ニッポン』。「その日その日~のでき心♪」という歌詞が秀逸。人生すべて「でき心」というわが家系のDNAを互いに笑えたのに……。今年は十三回忌だった。

通勤地獄はなぜ無くならないんだ(怒)

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 今日、たまたま通勤時間帯に山手線に乗ることになったが、混雑と暑さと痴漢冤罪防止体勢?にヘロヘロになり、半日死人状態だった。この地獄状態は半世紀前と変わらないしインドなどの状態を後進国と笑えない。一度もサラリーマンにならなかった理由の1つはこれが大嫌いだったからだ。家賃の安さに釣られて郊外に住んだこともこともあったが、通勤の拷問ぶりを知ってすぐに都心に舞い戻った。
 17日の国交省発表によると昨年度の首都圏都市交通の混雑度は、東京メトロ東西線の199%、JR総武線(各停)が197%、同・横須賀線が196%。前年まで192%だった小田急線は複々線化によって151%に減少したという。でも働く哲学、スタイルの根本対策はまるで見えてこない。東京都の「時差Biz」も、まるで無力な宣伝ポーズに過ぎない。
 ハァ、いったいいつになったら、「24時間好きな時、に好きな場所で働ける」世の中になるのだろう? 

爺時4 戦後の「ドサクサ」臭漂う1950年

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 東大生山崎晃嗣が48年、中野・鍋屋横丁に設立した闇金融会社が「光クラブ」である。だが翌年には倒産し、山崎は自殺。その特異な性格から三島『青の時代』や高木彬光『白昼の死角』のモデルになった。山崎を「僕らの英雄」と語るのは、成瀬映画『怒りの街』(1950の)宇野重吉と原保美。彼らは ”スケコマシ”で稼ぐ不良大学生役だった。
 光クラブ事件と同じ頃、長者番付1位で注目されていたのがやはり金融業者の森脇将光。こちらは50歳近い。だが、独自の情報収集能力を持ち、戦後昭和の政財界スキャンダルのたびに「森脇メモ」で世間を騒がせた。そのうち、九頭竜川ダム汚職を題材にしたのが石川達三の『金環食』。面白いのは映画化された時、森脇役を宇野重吉が演じたこと。民藝創設者で”正義”を掲げたがる人が、1950年という戦後の「ドサクサ」臭漂う役を2度も演じた。なお、49年に中共が誕生、50年に朝鮮戦争が始まっている。

爺飯48 市販 「玄米」をテストした

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 マクロビ信者ではないし健康に気づかう気もないが、白米だけで炊くメシの、媚びたような?甘さと軟さが好きじゃない。だから黒米や麦、加工玄米などを加えて食べてきたが納得できない。いっそ玄米だけにしようと思ったものの簡単じゃなかった。市販している「玄米」の中には、機械乾燥のために胚芽が発芽能力を失い、逆にタネが湿気から自衛するための有害成分の多いものが大半だという。果たしてうちの近所のスーパーで買った「玄米」はどうかと、24時間水に漬け、水を捨ててさらに日向で半日置いてみたら、ちゃんと芽がでた。かすかに酒粕のような臭いがする。この発芽玄米になるとGABAほかいろんな栄養素が数倍にもなるらしいが、日常の調理でこんな手間をかけるのは現実的ではない。圧力釜もないから、これから数回、普通の炊飯器で試みてみようと思う。

 

爺飯47 佐渡の味をかみしめる「ワカメの佃煮

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 故郷・佐渡では年が明けると海藻の季節が始まる。最初に出回るのはアカモク、ナガモ、ギンバソウと異名多い千両役者。刻んでトロトロのを醤油混ぜてアツアツご飯に載せたり、味噌漬けにしたり、キムチ漬けにもする。続くのが一番狩りのワカメ。畳みほどの長さの1本もらって根も茎も食べつくす。塩気着いたままを天日で干したりもする。佐渡もずくもうまいし、初夏にはアラメが旨い。切り干しや油揚げと煮付けたりスケトウの卵と甘辛煮にする。佐渡は海藻天国だと思う……4月の帰省時に自分土産に干しワカメを買ったら、友人からも送られた。さすがに食べきれないから佃煮した。ニンニク、鷹の爪、ごま油、砂糖、醤油でほんの15分程度で完成。地元四谷の「錦松梅」の空き容器に入れて保存。こうしておけば酒のツマミで半月は楽しめるゾォ

爺時3 「イデオロギー」が蒸発した1991年

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 世界も人間も歴史も簡単に”腑分け”できるという思い込みがイデオロギーである。人の自由意志を無視する分、単なる思想信条より始末が悪い。「共産主義vs.資本主義」なんてのがその典型であり世界を東西に分断した。だが、1991年に東側陣営が一方的に瓦解を始めた。ドイツ、東欧に次いでバルト三国の独立、ユーゴも解体。ゴルバチョフはブッシュと戦略兵器削減条約に調印。8月には彼をめぐるクーデーターがあり、年末にはソ連が無くなった。これを「共産主義の敗北=自由主義の勝利」と言う人がいるが、実際には「イデオロギー」という20世紀の”お化け”が蒸発したのだと思う。時代は民族と宗教の戦争に移った。……個人的にはこの年にインターネットのWWWが生まれたことの意義の方がはるかに大きかったと思う。