h.Tsuchiya

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爺飯58 昔風「カボチャ糅飯(かてめし)」とトリ大根

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 旬のカボチャを煮崩れぬよう濃いめに煮含め、わかめ加えて、炊き立てめしに混ぜ込めば、量も増えておかず要らずの「糅飯(かてめし)」。豆、大根、イモでも作る。これに白菜漬けでも添えれば、気分はすっかり江戸庶民のメシ。こんな爺飯に似合う映画は?……やっぱ時代劇でしょ。1963年東映映画『「この首1万石』(監督・原作:伊藤大輔)が似合いそう。江戸の口入屋「井筒屋」住み込みの権左(大川橋蔵)は、槍を抱えた奴踊りが売り物。人呼んで「槍の権左」。それがひょんなことから九州貧乏小藩のお国入りに狩り出される。さすが当時の東映だから演出、考証、小物、衣装、歌、ロケ、脇役(江利チエミ 大坂志郎 水原弘 堺駿二 平幹二郎 藤原鎌足 東野英治郎など)にもぬかりなくて、安心して観られる。旨いメシには、上手い芝居(残酷劇だが……)である!

自分の「歴史」を痛感して苦笑

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 友人M君夫妻と上野の科学技術博物館へ行き、「千の技術博覧会」を観覧。日本の近代化を支えた諸分野の歴史を網羅した数々の現物展示が迫力。今もカンボジアの奥地で働く綿糸紡績機「ガラ紡」も初めて観たしマツダロータリー車「コスモ」は今もカッコ良かった。セルロイド金魚の鋳型はまるでタイヤキ。日立の大型コンピュータ5020の鬼配線や東芝日本語ワープロJW10 のでかさと600万円という価格にあらためて驚くが、この辺りからリアル体験してきた自分の「歴史」というか「骨とう品ぶり」を笑ってしまう。修学旅行らしい中学生が黒電話でインスタ撮りしてたのがかわいかった。……帰りは、入場券の半券で割引のある上野駅構内ecuteたいめいけん」で、名物のオムライスでなく、「チャーシュー麺」にトライ。麺が残念だったけど焦がし醤油風味の出汁はグー!……やっぱ、東京ぐらしの方がイイかな、と思えた半日だった。

爺本19 英語教育関係者にこんな一冊

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 地道な、しかし社会的には意義ある活動をしている団体や個人が世間にはたくさんある。その一つ「グロ―バル人材育成学会」は国内高等教育機関で世界に通用する「グローバル人材」の育成に取り組んでおり、この11月に事例をまとめて『グローバル人材育成教育の挑戦』という本を刊行した(IBCパブリッシング 2800円)。自分はそのうちの冒頭座談会を取材・原稿化した。……もの書き(売文職人)としては、こういう匿名仕事が実は大好き。そこで以前に紹介した柴田宵曲(しょうきょく)という人を想う。彼は「世にもてはやされる者、広く人に知られたものばかりが、見るべき内容を有するのではない。各方面における看過されたる者、忘れられたる者の中から、真に価値あるものを発見することは、多くの人々によって常に企てられなければならぬ仕事の一であろうと思われる。」と書いている。根底には自己顕示欲旺盛な徳富蘇峰らへの反発もあったようだ。「知られざる人々を語り継ぐ」のもワシらの大事な使命だろう。

爺飯57 佐渡で作った牡蠣(カキ)料理

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 冬が旬のカキ。佐渡のあまり全国区ではない名産に、汽水湖加茂湖」の養殖カキがある。しかし水に周辺の生活排水が入り、また水温差が大きいために自然攪拌がなかなか進まず、水質がなかなかきれいにならなかった。(近年は様々な団体が加茂湖復活に熱心に取り組んで改善顕著!) また収穫サイクルも早いため、同じ島内・沢根の海水2年養殖より小さい。(夏場のテトラポッドに付着する岩ガキは、獲る人が少なくて大きくて美味しい!)。そんなマイナ―な地元食材を使い、佐渡に居た時に仲間たちと開催した「佐渡ごはんの会」では、カキを使った料理を20品以上作って皆で愉しんだ(写真は2017年)。参考までに以下にあげておく。豆板醤炒め、中華粥、味噌土手鍋、塩雑炊、牡蠣めし、しぐれ煮、キムチ鍋、山椒味噌焼き、煮おろし、グラタン、卵とじ丼、ペペロンチーノ、ベーコン巻き、カレー、魚介シチュー、ネギお好み焼き、シャブシャブなど。

爺酒06 佐渡の尾畑酒造が『You』に出た

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 今日のテレ東『Youは何しに日本へ』で、スペインで独学で日本酒を醸造しているアントニオ夫妻が、自分らの酒を引っ提げて来日。本場の蔵元に学ぼうという彼が選んだのが、なんと佐渡島。棚田米や水が醸造に最適で長い歴史と5つもの蔵元がある。その一つ、真野の尾畑酒造さんを訪れ、「ヨーグルトのような酸味の辛口」だと評された。そして連れて行かれたのが廃校を使った「学校蔵」。ここで体験……尾畑さんは会長からの知り合い。佐渡と越後の蔵元連合で中国にプロモーションする手伝いも何度か一緒にやった。西三川小学校が廃校になる直前まで、自分たちの『トキの里山弁当』を先生たちに仕出したのも懐かしい。別の蔵元『北雪』は、米国でも有名な日本レストラン『ノブ』(デ・ニーロも出資)で採用されて輸出好調。加藤さんの『金鶴』は島民人気が高い銘酒。逸見さんの純米『真陵』『至』もファンが多い。両津の蔵元連合から近代化に進む『天領盃』さんも元気が良い。 ……なんだか、色んなことを想い出しちゃった。呑んでもないのに。

爺本18 「芭蕉」の話と無名の句

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 毎年使っている「歳時記カレンダー」も11月に。今週で目立つのは7日の「立冬」だが、その脇に季語「破芭蕉(やればしょう)」とある。解説によると、葉が青々している時は屋根ふきや芭蕉布に使われたりするが、冬になれば枯れてボロボロに。俳人松尾芭蕉が俳号に使ったのは、庵の庭に植えた芭蕉にちなんだものというのが通説だが、「ものの役に立たなくなった=世間から自由になれた」という心境にふさわしいと考えたのだとの説明がある。また、芭蕉はもう一つの俳号「桃青」を公的な場では使ったという。これは中国の詩人「李白」(すもも、しろい)に及ばぬ未熟ものであるとの表明だとか(Wiki)。……で俳句の話。明治の編集者?柴田宵曲と言う人の書に『古句を観る』がある。青空文庫にもあって、有名でない作家の有名でない句を取り上げ」たものだ。この人、面白い。で、その選から2句を選んでみた。「篠深く梢は柿の蔕(へた)さびし」(野水)、「二階から煙草の煙秋のくれ」(除風)

爺歌36 雪降る夜は「じょんがら節」でも

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 今年の津軽富士・岩木山は初雪が遅かったらしい。冬の津軽に似合う歌はやぱり「じょんがら節」。越後瞽女(ごぜ)の三味線が北前船で伝わったともいうが、バチを叩きつける強さと早い捌きが独特で、高橋竹山吉田兄弟はなわちえ、上妻宏光らのコンサートで知った人も多いかもしれない。それにしても「じょんがら」とは変な名前。戦国時代、落城に抵抗した和尚・常椽の亡骸を河原に供養し歌物語にして語り継いだことから「じょうえん・がわら」=「じょんがら」との説がある。(なお石川・野々市の「じょんから」は無関係)。また今の弾き方のルーツになったのは「仁田坊」という盲目の僧侶。彼をモデルにしたアニメが『Nitaboh』でYouTubeで観られる。歌入りでは細川たかしの『望郷じょんがら』も良いが、ワシは長山洋子『じょんがら女節』が好き。共に、ジジババでも唄える曲であることが不思議。今度、聴かせてあげるからね。ムヒヒ……(笑)