
就寝前にYouTubeの「朗読物」を聞くことがこの頃の習慣になっている。ただしアドレナリンが出るような刺激的な内容は禁物で、なるべく簡単かつ平穏な本が良い。山本周五郎のほんわかものなどが定番だ。映画にもなった『雨あがる』や『椿三十郎』(原作『日々平安』)『どですかでん』(同『季節のない街』)の類。
もう一つ選ぶ条件に「読み手」がある。男性なら窪田等さん、女性ならあべよしみさんがおすすめ。声質だけでなく「止める」を「とめる」か「やめる」かなどの読み間違いが少ないからだ。
先日聞いたのは『ひやめし物語』だった。青空文庫にもある短編だから内容に興味ある方はご一読を。初見(初聞?)の自分は半眠状態で「聞き流し」しているが、時折、はて何のこと?と疑問に思う言葉も出てくる。そこで近年減り方顕著な記憶在庫総動員で推測するが、疑問符を持ち越すこともある。
主人公の「冷や飯喰い(次男三八)」こと大四郎が引き起こす事件で、拾った財布(「古渡り更紗」=インドネシア・バティックのこと)を落とし主に届けたのに「金額が足りない」とごねられ、やむなく自腹を切るのだが、その時に使ったのが「肌付き金」の一両だった。これは武士や旅人が万一のために肌着に縫い込んでおく小判である。また娶った女子が「千羽鶴」を折るのだが、999羽で願をかけ、願が叶ったら千羽目を足すのだという……等々、面白い言葉が出てくる。
でもあまり面白がっていると寝れなくなるのが困る。「聞き流し」睡眠法はコツが必要である(笑)