h.Tsuchiya

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シニア世代の恋愛事情

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 今年になって、芸能人の「卒婚」が続けて話題になった。一人はものまね芸人の清水アキラ(59歳)で、もう一人が若大将・加山雄三(76歳)だ。「卒婚」というのは、別居でも離婚でもなく、夫婦が婚姻関係は解消せず、それぞれの新しい道に進んでいくライフスタイルのことだという。でも何だか偽善っぽいというか、カッコつけすぎな気がする。ボクは、介護別居を機に、「もう戻せない」と思ったからさっさと離婚した(された?)。

 それじゃあ、熟年過ぎのシニア世代は、異性に恋愛感情や欲情を抱いたりしなくなるのかというと、それも違う。かつて昭和23年(1948)には、68歳の歌人川田順が弟子と恋愛、家出し、「墓場に近き老いらくの、恋は怖るる何ものもなし」と詠じた。ここから「老いらくの恋」という言葉が流行った。次の高度成長期にはそんなことに目を向ける人はいなかったようだが、バブルの1980年代に入ると、「セプテンバーセックス」つまり人生も秋めく=黄昏るる9月からの恋という言葉で老人の性に光が当たった。というか「日本中のSEXがおかしいぜ」という指摘だった。週刊文春に連載された佐野眞一のルポが契機だった(「ニッポン発情狂時代」ちくま文庫所収)。そして高齢化社会が現実になった今、シニア世代の恋愛やセックスに関する本や記事や出会いサイトがにぎやかだ。小林照幸、高柳美知子、工藤美代子といった人たちは」何冊も書いている。

 熟年専門の出会い系サイトもピンキリで、たいていはメールやブログを通して、互いに知り合ってもらおうという趣旨だが、中には「茶飲み友達ご紹介します」とうたって、入会金10500円に紹介料同額を取るところもある。こりゃダメだというのもあった。あのLINEのアプリにいくつもあって(時々ガキどもが問題を起こす)、それに登録してみると、たしかにいろんな女性達が相手を求めているような情報が並ぶのだが、どうもおかしい。マップでみると深夜には閉園になって誰もいないはずの新宿御苑の中に二人もいる。同じメンバーが30分ぐらい交代のローテーションでたびたび登場する。「韓国ドラマが好き」とかちゃんとハングルで書いているのも多い……そう、LINEの運営会社は韓国だし、これらのネタはすべて釣り、サクラである。何度もアクセスを繰り返すと「友達になろう」というメールがくる。しかしこれは男。「サッカーの話はどう?」とある。即「拒絶」。サイトの向こうでバイトしているコリアン兄ちゃんたちのダレている様子がアリアリだ。半日でアンインストして消した。

 関連本に戻ると、ずばり「シニア・セックス」(彩図社文庫)なる本があり、石濱淳美という医学博士の書いたエッセイだが、アマゾンの読者レビューがシニアっぽくて?いい。長めだが引用しよう。

「この本の執筆時に(著者は)89歳だった,今も達者である老医師が自由に書いた随筆と言った感じの本。冒頭で「人間はいつまでセックスをするのか」という問いに,きっぱりと「死ぬまで」と答えている。この事からも分かるように,極めて楽観的な立場である。人間は生殖年齢が終わっても(子供を作れなくなっても),生殖とは無関係に死ぬまでセックスできるのだから,細かいことを言わずに楽しめば良いじゃないか,と,一言で言えばそんな内容だ。(中略) 
 平均年齢が50歳程度だった戦前ならば老後の性など心配する必要もなかっただろう。しかし高齢化が進む今では老人の性を巡り様々な問題が起こっているようだ。配偶者と死に別れた後の問題や老後の男女の性欲ギャップなど…。私などは年と共に木が枯れるように性欲も能力も減退してゆくのも,煩悩が次第に減ってゆくようで悪くないと思いがちだが,筆者は老いてもなおセックスできる幸福を素直に喜んでいる。まあ,自分一人だけの事を考えれば良い事であることに間違いはない。私も老後の楽しみが一つ増えた,と考えることにしようか。」

 さて、ネットや本はともかくリアル世界ではどうなっているのか、それはこれから調べて、また報告することにしよう。