h.Tsuchiya

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心のハードル=「埒(らち)」

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 自分のこととはいわないが、気の小さい男が、酒の力を借りて、女を口説くとか、上司とケンカするとか、ということはたくさんある(あった?)。素面の時には絶対しないようなことをしでかす。これを、客観的にみると、日常の中で、彼の中でいろいろなことが、心の中のハードルになっていて、それを越えないように、あるいは超えないようにとしていることになる。内容は人さまざまで、男女間のモラル、上司・部下、隣人関係などのシバリ、金銭的制約、社会常識、長年のコンプレックス、虚栄心、社会的立場……等々。

 精神科や心療内科を訪れる人は、こうしたハードル意識が高い人が多そうだ。他人から見たらマジメでしっかりして、几帳面な人ほど、抱え込んでいる自己規制が多そうだ。規制の中で自己中毒を起こしてしまっているのだろうと思う。この自己規制はハードルともいえるし、漢字的には「埒(らち)」とも言える。

 「埒外」「埒の門が開かない(らちがあかん)」などの成語がある。もとは馬場などの囲い、柵のことだ。これが日本で使われるようになった由来は諸説あると思うが、おもしろいのは方言に残っていること。

 昔、カゴメトマトジュースのTVCFで、田舎のバアチャンが、都会の息子だか孫だかに「もっと野菜とらにゃ、らちゃかんぞ~」と呼びかけるのがあって、ちょっと流行った。ロケ地はたぶん岐阜近辺だと思うが、佐渡の方言でも同じ。関西系だろう。それにしても、こんな漢字を知らない、書けないはずの田舎びとが、どうしてこんな言葉を知っているかが不思議だ。
ボクの推測だが、当時の田舎のインテリで漢書が読めるといえば、坊主である。こういう坊主が使った言葉が、その檀家や近在に広まったのだろう。方言には、こうした類のインテリ古語が混じっていることが多い。

 で、その心のハードルだが、最近ボクも少しストレスが澱のように溜まってきたみたいで、友達と話していると、ついつい愚痴になる。前なら絶対、愚痴を言わなかったのに……。どこかで、ハードルを越えて、暴言吐いたりキレた行動に出るかもしれない。わぉ!