h.Tsuchiya

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「おかえり」って迎えてくれる場所

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 民謡とポップをフュージョンして唄う山形出身の朝倉さや(29歳?)がブレイクしているのは、事務所(solaya)が有能なだけでなくシンガーソングライターである当人の自己プロデュース力が高いのだと思う。そのパワーの核にはピュアで明るいキャラクターがある。
 子ども時代の民謡日本一(2回)は置くとして、この10年で彼女の成し遂げてきたことには驚く。既存ヒット曲を方言で唄うジャンルも開拓した(歌詞を山形弁にする際には祖母と相談した)。最上川舟歌や花笠音頭などをHipHopと一体化させるのも独創的だ。ゲーム「天穂のサクナヒメ」の主題歌はドンピシャだった。無縁だった静岡の放送局(SBS)で「ひとり観光協会」なるコーナーを持ち、約4年間、静岡県中を巡り、後継者不在で消滅していた小さな村の茶摘み歌を復活させたりもした。あるいは楽曲の一部の著作権をフリーにしたのもなかなかできることではない。
 クリエィティブに生きたい人、田舎の活性化、文化交流などを考えている人には刺激になるはずだ。ヒントだらけだ。彼女のパワーは、関わる人たちを巻き込んでこそ生まれる。関わる人も自分のクリエイティビティを発掘しているのだとわかる。
 彼女の自作曲は多数あるが、山形から上京して最初に作った「東京」は、夢を追って大都会で独り暮らすものの気持ちがよく出ている。また「おかえり」がいい。帰りたくても帰れない事情を抱えるものが、自分を丸ごと認めて受け入れて「おかえり」と迎えてくれる人や土地こそふるさとだ思う……コロナ禍が終息したら自分の「ふるさと」に向かう人が増える。彼らの「ただいま」に、心から「おかえり」と迎えて欲しい。