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「春宵一刻」と「トンポーロー」

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 暦の「二十四節季」は季節を味わうのに最適。春分の次は4月5日の「清明(せいめい)」節。中華文化圏では先祖の墓参りをする風習がある。沖縄の「シーミー」は墓前に親戚が集まってお供え物のお下がりを食べて賑やかに過ごす(写真左)。あたかも春のお盆だね。
 11世紀北宗の時代。昼間、清明の催しがあって賑やかに過ごした宵。あたりは静かになり、花が香り月はおぼろ。ブランコ(鞦韆)が静かに揺れている。「あ~愉しかったなぁ。気持ちの良い宵だ」という気分を詩にしたのが、蘇軾の「春宵一刻値千金」。だけど世間には漢文ギライも多いから詩文は省略!
 この「清明節」には2日違いでまぎらわしい行事「寒食(かんしょく)」節を行う地域がある。冬至から105日目(今年は4月3日)に「火を使ってものを食べない」日。韓国では「ハンシッ」と呼んで蕎麦、ヨモギ餅を食べる。ベトナムでは旧暦3月3日に相当し白玉団子のようなお菓子を食べる。だが中国では「清明節」に吸収されて廃れた。「寒食」の由来は、古代中国の偉大な忠臣・介子推(かいしすい)が焼死したことを悼むためらしい(宮城谷の小説がある)。なんだか「屈原とチマキ」の話に似るけど、クドくなるからこれ以上は省略(全省略!) 
 自分の本当の関心は表題の詩の作者・蘇軾(号は東坡:トンポー)にある。それも彼がトンポーロー(東坡肉)の発案者だという点だ。彼は「豚肉は安い。おもむろに火にかけ、少し煮て、ほどよく火が通ればうまい具合に仕上がる。毎日食べてるぐらいだ」との詩もある(食猪肉)。豚肉の醤油煮(角煮、紅焼肉)の類だが、トンポーローは「皮付き」。写真はデパ地下で600円弱で買った安価版だが紹興酒と五香粉が効いて、イャンや結構でした~♪。