h.Tsuchiya

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昔取った”杵柄(きねづか)”ってヤツ

 あるYouTuberが大宮の鉄道博物館で、元国鉄の機関士だった祖父を「D51シミュレーター」に載せた。すると、ふだんは「ちょっとボケ気味」という祖父が急にシャキッとし目つきまで変わった。インストラクターにまず尋ねたのは牽引車両数や燃料積量、乗客数など動力にかかる負荷の数値だった。片腕を窓外に出し、時々計器を見ながら微妙にブレーキを操作する。線路状況によって「乗客の頭の揺れ」がひどくならないことを心掛けての調整らしい。VRの画面に踏切が映るとすかさず警笛、終点ではホーム先端にピタリと停車……てな具合。この人すでに故人で撮影当時80代後半と思えるが、まことに「昔取った杵柄」という言葉がぴったりだった。(
TGS_桃伎舎 https://www.youtube.com/watch?v=rO9_8V6zsPA&t=20s
 この言葉の意味は「昔身に着けた(餅つきの)技は老いても失われない」ということ。ちょっとネガティブな意味の成句には「スズメ百まで踊り忘れず」(踊り=遊び事)があるし、老いてダメになることを「麒麟も老いては駑馬にも劣る」というのがある。
 さて、自分にも「杵柄」らしきスキルがあるかと思い返してみても何もない。強いていえば、印刷用版下に使っていた写植の切り貼りかな。タイトルをいじっったり誤植を「象嵌」で直したりするのは誰より手早かった。でももうその写植システム自体が絶滅危惧種。臼も餅つきも無い時代の「杵柄」みたいなもんだよ。トホホ(笑)
(写植q数表の写真はLove金沢水彩画さん)