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秋刀魚は「さまな(狭真魚)」がなまった?

 現場近くに定食屋「やよい軒」の店があり、「9月2日から秋刀魚塩焼き定食」を始めるとポスターにある。旬だから食べたいが、何年も不漁・高騰と報じられたので積極的に食べる気は起きない。塩焼きよりも和歌山・新宮で食べた「さんまの姿ずし」や新橋・玉木屋の姿煮(佃煮)に未練がある。
 ところで「サンマ」をなぜ「秋刀魚」と書くのか?漢字と音・訓が合わない。江戸時代は「三馬」と書いた説もあるから「サンマ」という音はあったのだろう。調べると、元は「さまな(狭真魚)」と言ったらしい。細い体幅(狭い)の魚(真魚=まな板の語源)の意味だろう。それがなまって「サンマ」に転じ、更に美化した当て字で「秋刀魚」と書き、かつ読むようになったらしい。
 この手の当て字が普通に通用することが不思議でしょうがない。「おいしい」だってなぜ「美味しい」と書くのか?「さようなら」は「左様なら」じゃないはず……。調べがつかなきゃ死ねないよ、ホント。
 話を「サンマ」に戻して2題。小津の遺作「秋刀魚の味」の題には意味がなかった。「秋に封切りだから……」というだけ。強いてこじつけると「婚期を逃す娘と戦争の話はしない親父たち」のそれぞれの「苦さ」が秋刀魚の腸のほろ苦さということか?加東大介の軍艦マーチ・敬礼行進のシーンが妙に印象的だ。佐藤春夫の詩「秋刀魚の歌」は谷崎潤一郎が妻を譲るのどうのという「小田原事件」を踏まえて読むと、ただただ苦くてしょっぱくて侘しい。