h.Tsuchiya

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「人の行く裏に道あり」の紅葉散歩

 NHKBSで「赤ひげ」シリーズが断続的に続いており、小説(山本周五郎)とも映画(黒澤)とも違うオリジナル脚本らしい。でもその舞台が小石川養成所であることは変わらない。時代は享保、実在の町医者がモデルで。その場所は「後楽園」にあった。今はドーム球場や遊園地に圧されている感があり、岡山の後楽園ほどの広さはないが、なかなか凝った手入れの良い庭園だ(65歳以上割引150円!)
 先日この近くが現場になり、イイものを見つけたから紹介したい。世に「人の行く裏に道あり花の山、いずれを行くも散らぬ間に行け 」(千利休)と言う言葉があり、株屋たちの投資心得のように流布しているが、言葉通りに、後楽園の樹々も借景にして、その塀と東京都のポンプ場の間にある歩道(後楽緑道)がなかなかシブかった。後楽園と近隣の企業や団体が共同で管理しており、朝7時から夜8時までしか通れないレンガ道だ。
 紅葉も良いが八つ手、アオキ、黒モジ、山茶花など和物の木々がうれしい。鮮やかな黄色のツワブキ、八重の赤い花が咲く寒ツバキも今が盛りなのだ。「散る前」にぜひ!
 ところで東西「後楽園」の命名の元ネタは宗の詩人・范仲淹の詩からとった「先憂後楽」。為政者(あるいは経営者)は、常に民(社員)に先立って国(企業)のことを心配し、民(社員)が楽しんだ後に自分が楽しむべし、という訓話になる。なかには、「先にイヤなことをやっておけば後が愉しい」の意味で使う人がいるが、どうも違和感がある。