h.Tsuchiya

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「そば屋」のノレン看板考

 マセガキじゃなかったけど「信州信濃の新そばよりも♪わたしゃあんたのソバが良い♪」というドドイツはガキの頃から「♥」系と知っていた(笑)。
 そのソバだが左のようなノレンや看板を出している店が多い。どちらも「生そば」と習慣的に読んでいるが、よく考えると謎だ。上の白ノレン(長寿庵?)の方は「幾楚者」という漢字の崩しで、下の彫看板(神田まつや)は「生蕎麦」の崩しである。とくに前者がクセモノ。仮名の元になる漢字ではなく意味を含んだ漢字を当てている「変体仮名」だ。以下は受け売りだが「幾=いくらかの」「楚=ほっそりした」「者=台の上で焚くもの」との意味があるから「そば」を指していると言えなくもない(出張蕎麦「落常」のブログなど参照)。なお「蕎麦(きょうばく)」と当て字しているがそばは麦の仲間ではない(ナデシコタデ科)。
 そば関連では屋号に「や婦そば」「そば處」「志なのそば」等々、変体仮名を用いているものが多い理由は?……さてこっから独断。今日のような切りそばができ、爆発的な人気を得た江戸時代に、少し蘊蓄のあるものが「ちょっとひねってみましょうよ」とそばやに知恵をつけたのではないかと思う。うなぎ屋に「土用」を教えた平賀源内みたいにね……。食べ物から民俗芸能まで、巷には昔からこういう無名のプロデューサーが大勢いたと思っている。
 ところでまだ、そば屋復活デビューできていないワシだが、わが町の角にある「いまゐ」の冷タヌを早く食べに行きたい!安くて旨いのだ!