h.Tsuchiya

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「雨夜の品定め」する/される

 来週には梅雨明けしそうだが、今から1000年以上前のこの季節(長雨晴れ間なきころ)に、職場に宿直した男たち4人が「理想の女性像」をテーマに語り明かしていた……ご存じ『源氏物語』の第ニ帖「帚木」の、通称「雨夜の品定め」だ。17歳になった光源氏もその一員。やれ、「上流の女より中流が良い」だの、「優しい女は情に流されやすいがしっかり過ぎても色気がない」……などと言いたい放題。最後は頭中将の色懺悔経験談たっぷり。光源氏も大いに刺激を受けて次の話につながっていく……。
 現代のフェミさんなら「スイカじゃあるまいに女性を”品定め”とは怪しからん!」と息巻くかもしれないが、うなずける部分も多く、たぶん現代の女性たちだって「雨夜の『恋バナ』」してるはず。こういうことは世界共通、昔も今も変わるまい(個人的には『源氏』はクドイ!『枕草子』の方が好みだけど……)。
 色恋ごとだけでなく、人間はいつも他人を評している。親戚・友人。職場の人間、取引先あるいは”瓦版”の時の人、為政者……挙句いろんな評価を下し、付き合いの深浅、好悪の気分を決めている。もしかすると人間には月旦好きの遺伝子が組み込まれているのかもしれない。
 でも、うっかり忘れがちだが、「品定め」しているのは自分だけでなく、自分もまた、常に休みなく、多くの人から「品定め」されている。うかつな物言い、思慮浅い言動、本意が伝えきれないこと等々がヤバイ評判になっていることもある……。自分のことではないけど、そういう体験をした人の話を聴いて自戒とした。