h.Tsuchiya

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「抜き書き帖」から「江戸弁」

本を棄てる準備をしているが、すでに廃棄した本の「抜き書き」ノートも多数ある。これを読み返すと面白くて棄てるには惜しい気もする。だからネット上に少し残してみよう。誰か興味を持ってくれるかもしれない。
 今回のタネ本は古本屋経営者でもあった作家出久根達郎氏の『万骨伝』。副題にある「饅頭本」というのは古書業界用語で、人の死去や顕彰などに際して出される饅頭みたいな「記念出版物」のこと。たくさんの人のエピソードが掲載されている。選んだのは演劇批評家・作家の岡鬼太郎(1872 - 1943)が残した1926年頃の「江戸弁」噺で「田舎言葉」と対比している。以下、カッコ内は田舎弁で当時は正しくない用法。(なお、国太郎の息子は発電所やパンジーの絵を描いた岡鹿之助
 想いもよらない(×思いもかけない)、兎も角も(×兎に角)、何々なさい(×何々しなさい)、浅草へ行く(×浅草に行く)、騒ぎが起こる(×騒ぎが起きる)、居心がいい(×居心地がいい)、心持がいい(×心地良い)、たかたのばんば(×たかだのばば:高田馬場)、あきはのはら(×あきはばら:秋葉原)……
 日本語というのは、時流や世間の流行りに併せてコロコロと変わってしまう。全然ロジカルじゃない。次々と廃語になり、正体不明の言い回しが増える。若者に通じなかった「おじさんクサい言い回し」(例:免許皆伝、関の山、歯に衣着せぬ、十八番、眼鏡にかなう等々)のメモもふえるばかり。そのうち公開します(笑)bankotuden.png