h.Tsuchiya

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LINE残して逝く、時世だなぁ

 今日は7月に亡くなった叔母(享年80)の四十九日法要だった。寺が天台宗だったから僧侶は法要をこう説明した「死後49日の間に霊は、自らの諸悪の行いを懺悔(さんげ)して自分の心を清らかにします。そして位階の高い仏様になられます」と。でも死後の世界観としては、芥川賞作家で僧侶(臨済宗玄侑宗久流の、「この世とあの世の中間(=中陰)」を光速で通過する49日間というイメージの方が魅力的だ。
 それはともかく香典を用意している時に「あ、そうだったな」と変な既視感を覚えた。あほっぽいルール(しきたり)がある。例「香典袋」の名前は黒々した墨ではなく灰色の「薄墨」で、金額は「漢数字」で、紙幣は顔のある方を内側に、49日前は「御霊前」と……。こんなのは序の口で、喪主になって取り仕切ろうとするとものすごい「しきたり」に振り回される。今日も叔母の遺族(自分には従兄弟たち)は、「香典返しはどうしたらいいの?」とか「次の100日忌と(叔父の)十三回忌は一緒にできるかな?」などと話していた。
 自分も両親を前後して見送った経験があるから彼らの悩ましさは分かる。やれ「家族葬直葬の時代」といっても、遺体の検視、その運搬、火葬、納骨などを考えると、チャチャとすませられない壁がある。結局、葬儀屋や寺(墓地)の手を少なからず借りるしかないのである。今日も墓守りから卒塔婆代を「現金で」と言われ、スマホキャッシュレス世代の喪主達は戸惑っていた。そういえば、故人も2年前まで家族LINEをやってたなぁ……これはどう「葬るべき」なんだろうか?
 以下、宣伝。「しきたり」だらけのニッポンに改めて気づいたのがきっかけで自分は『日本のしきたり』というバイリンガルブックを上梓した(2013年 IBCパブリッシング)。この本は2年ごとに4000部増刷されるロングセラーです(印税ありがたい)。皆さんも一家に一冊、ガイジンのご友人にも一冊、いかがでしょう(笑)