h.Tsuchiya

My NEWS

日本人が泣く特選場面2つ

 

 あと1日で赤穂浪士討ち入りの日。自称「忠臣蔵語り部の今日の噺は大いに泣ける話ですぞ!
●その1 南部坂雪の別れ
 大石内蔵助が14日の午後に訪ねたのは浅野内匠頭の妻阿久里が落飾して瑤泉院として暮らす南部坂の屋敷。阿久里は吉良を討つ話を聞きたいのだが、大石は話を逸らすばかり。それどころか「さる藩への就職話」をする。帰り際に「東国に旅したのでその歌日記です」と巻物を置いて辞去する。阿久里は怒りかつ失望する…大石もすべて打ち明け、主君の位牌に報告したかった。だが吉良方の間諜がどこかで見ていると考え、雪が積り出した南部坂を黙って下った…大石が案じた通り、瑤泉院のもとには下女に扮した間諜がおり、置き土産の巻物を見ようとした。それを見つけた側近の戸田局(小野寺十内の妹)が直ちに成敗。瑤泉院が巻物を見るとそれは討ち入り覚悟の連判状。「そうであったか、内蔵助赦してたもれ」と号泣する。
 女講談師神田紅は、手拭い一本を巻物に見立て、連判状の47士を滔々と読み上げる。拍手喝采だ。
●その2 赤垣源蔵徳利の別れ
  赤垣(赤埴)源蔵は、やはり14日の午後、兄に暇乞いに芝新銭座へ出かけたが留守。兄嫁がいるが酒飲みの源蔵を嫌って出て来ない。待てど帰らぬ兄の代わりに羽織をもってこさせ、衣紋架けの羽織相手に持ってきた酒(矢野の諸白)を呑み、両親の思い出話や就職が決まったので今宵でお別れです、と帰って行く。遅くなって帰ってきた兄は、その話を聴いて「いや、侍の魂を忘れるような者ではない」とかばう。翌朝、討ち入りの噂が広まり、浪士一行の中に源蔵もいた。兄は、夕べ源蔵が残していった徳利を飲み干して泣いた。
 大昔の映画で勝新太郎演じた源蔵が良かった!(春日太一が推す1958年版大映映画)