h.Tsuchiya

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「太郎の屋根に雪ふりつむ……」

 「今夜は都内で積雪」とニュースが盛んに流している。積雪予想たった8cmだというのに(笑)。ジタバタせずに雪を味わえば良かろうに。雪がらみのBGMならいっぱいあるしさ……。
 でも自分は「詩」で愉しもうかな。それも小学6年時の国語の教科書に載っていた詩。60年以上経っても覚えているのは、記憶力ではなく、たった2行の短い詩だったから。ハハハ
「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。」
これだけ。三好達治が1927年(26歳)に発表したもの。この詩では太郎、次郎とあるか二人を兄弟と読むのは違う。「こちらの家の太郎」「あちらの家の次郎」という風で、ありふれた呼称で良く、中国の「張三李四」みたいなもの? 書いてないが「三郎を眠らせ~、四郎を眠らせ~」と続きそうな余韻が良い。
 才女・宇野千代は、三好の外と内の極端な2面性を指摘し、外面は「いつでも正気で端然としていて、節度を守っているよう」、内面は「いつでも狂気で、節度を外し、惑溺するに任せていたのではないだろうか」と書いた(『天上の花』)
 この『天上の花』は、萩原朔太郎の娘・葉子の小説で、三好と朔太郎の妹アイとの同棲生活を描き、一昨年暮れに映画化された。三好がアイに「16年4ヵ月も片想いしてた」と告るシーンだけが」印象的。
 文に添えた絵はご存じ東山魁夷の『年暮る』。京都ホテルから見える除夜の夜の町並みだ。「カレンダー画家」と揶揄する人もいるが、装飾品としては十分美しい。