h.Tsuchiya

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70年目のゴジラを40年ぶりの友と

 周回遅れながら『ゴジラー1.0』を観てきた。モノクロ版は売切れで音響バリバリのIMAXで。アカデミーノミネート効果もあってか老若男女が多かった。今回、付き合ってくれたのは3つ年下のデザイナー・イシカワくん。大学中退の自分が試行錯誤でデザインと印刷代行の商売を始めた時に参加した法学部生。1974年、怖いもの知らず、いや全然モノ知らずの仕事に付き合ってくれた。その後10年くらい交流したのちに途絶えていた。自分の真っ黒な歴史時代を見てきた目撃者でもあるが、そのあたりの話を書くと長くなり過ぎるから略。
 東宝の『ゴジラ』シリーズは1954年に始まるから今年は70年目。映画の中身や感想はたくさんの人が書いているので略すが、自分が感心したのは、多くの脇役、無名のエキストラ、多岐にわたる専門スタッフらが出てくる映画のエンドロール。中に八百屋さんの名前も。野菜が出てくるのは、闇市のシーン、捨て子アキ子に大根を食べさせるシーン、男たちが鍋を囲むシーンだけだが、それを律義に書いて謝意を示すところに山崎監督らしさを感じた。エキストラの扱いもうまかった。前に監督した『ALWAYS三丁目の夕日』でもゴジラ襲来が描かれているが(右下)逃げ惑う群衆エキストラとVFX(CG)の呼吸がぴったり。その群集っぷり?から「山崎組」と呼ばれるのもうなずける。
 概してこの映画、ヤマトオノコとナデシコが凛々しい。迫力にドキドキしつつその健気さに涙が出る。そして無名の人々が「良い映画を観たい、出たい、作りたい」と想っていることに感動した。
 イシカワくんは時代設定と「ー1.0」の意味が理解できたと感想……そんな話もしながら、旧交を温めてのんびりもした良き一日だった。