h.Tsuchiya

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「足弱さん、ま、ねまれっちゃ」

 住民と一緒に古びた団地があり、近くのスーパーへ毎日高齢者たちが買い物に行く。足腰の弱った人が多い。背を曲げ、杖や押し車に支えられてヨタヨタと歩く。互いに支えあう人もいる。苦労してまで出歩くのはどうしてだ?通販や食材配達では嫌なのか?(後ろ姿とはいえ、無断撮影して申し訳ないm(__)m)
 たまに自分が立哨する目の前で転ぶ。手を貸して起こすと「段差があって」とか「目が悪くて」と、まず言い訳。最後に「すみません、ありがとう」と小声でつぶやく。「ついこの間までは、こんなことなかった」と愚痴る人もいる。そうだろうなぁ。誰もがかつてはシャキリ&スタスタと歩いていた美女美男だったんだ…….。そして今彼らが、杖、手押し車、柔らか靴、湿布薬、サプリを買い、整骨院と薬屋を繁盛させている。
 足ヨワさんたちの心の奥にはやり場のない怒りと「焦り」がある。この焦りが老害、老醜、転倒、運転ミスや癇癪、万引等に繋がることもある。
 そんな彼らには、「まぁ、ねまれっちゃ」と声をかけたくなる。佐渡では「座って(ゆっくりして)」の意味になる。その名の居酒屋もある。でも佐渡だけの言葉ではなく、東京方言(標準語)以外、割と各地にある。富山県の観光情報季刊誌も「ねまるちゃ」だ(ただし九州だけ「ねまる」は腐敗するの意味。どう転化したのか不明)。ともかく落ち着いて気分をやすめる方がいい。
 実際、彼らはどこでも座りたがる。ベンチを占有する。だが、ベンチが足りなすぎる。日本中にもっと増やして店前や歩道に一杯並べる。雨天や炎天を考えればバス停みたいな片持たせの屋根が欲しい。これから「ライドシェア」がより本格化し進化すれば、ベンチごとに病院、スーパー、市役所など希望する行き先を決めて、そこで待てばよいだろう。課題は費用と地権かな?
 右下のベンチはイケア製で約1万3千円。屋外で使える「ネッマローシリーズ」の一つ。この名と「ねまる」は関係なさそうだが、偶然が面白い。