h.Tsuchiya

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「横(よこ)」はワルだった⁉

 のどがイガイガするので『じゃばら飴』を買った。「邪払」と書くがスダチ風の柑橘類。鬼も逃げるという酸っぱさで「邪気を払う」と古来から言われてきた。産地・北山村の話が面白いんだが省くね。なお、UHA味覚糖のは酸っぱくないよ。
 文字や言葉にアンテナが向いてしまう職業病で「邪」に注目した。訓で「よこしま」と読むがヘンな日本語。その語源を調べると「横様」が音韻変化したらしい。で、「横」であるのは縦方向の中心線からズレるので「正しくない=悪」と思われてきた(中国語「ヘン」でも「粗暴」の意がある)。
 言われてみれば、横行、横着、横柄、横暴、横領、専横、横死、横紙破り、横車を押す……ネガティブな言葉にたくさん使われている。調べてビックリだわい!(横綱とか無問題のものもあるけどね)。ついでに調べたけど、反対の「縦(たて)」が正義というのはなく「放縦」とか悪い意味もある。つまり昔の人は、横と縦を対概念で考えたのではなく。なんとなく垂直(上下)方向が基準というか「順である」と想っていたのだろう。重力、雨水の流れ、紙の漉き目、文章のタテ書き、はた織……世界観の一部なのだ。
 自分が今、準備している『ことだま百貨店』という本では、こういう話を蘊蓄で終わらせたくない。昔の人がなぜタテ方向を「順」と考えたのか、どうして横のつく悪字を増殖させたのか、まで踏み込んで面白く考えるものにしたいのです(笑)。色んなクリエイターさんに助けてもらわねば……